2013 Fiscal Year Annual Research Report
地上―衛星観測に基づく内部磁気圏の広エネルギーレンジの電子消失過程の解明
Project/Area Number |
11J03471
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗田 怜 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁気圏物理 / ディフューズオーロラ / 波動粒子相互作用 / ホイッスラー波動 / THEMIS / SAMPEX / 放射線帯電子 / ECH波動 |
Research Abstract |
波動粒子相互作用によって引き起こされるピッチ角散乱は、磁気圏内の高エネルギー電子の消失過程として重要視されており、ディフューズオーロラの励起過程としても知られている。これらのプロセスは内部磁気圏の電子ダイナミクス全体を考察していく上で非常に重要である。本研究では、人工衛星と地上観測点による同時多点観測結果を用いて、波動粒子相互作用による消失過程を明らかにしていくことを目標に研究を行った。 近年の理論研究により、ホイッスラーモード波動によるピッチ角散乱がECH波動に比べ効率的であり、ECH波動によるピッチ角散乱はあまり重要でない事が指摘されている。ECH波動のピッチ角散乱の寄与を明確にするために、THEMIS衛星で観測された電子の速度分布関数が、ホイッスラーモード波動とECH波動の活動に対してどのように変化するかを調査した。ホイッスラーモード波動だけが観測されている場合とECH波動が観測される場合の速度分布関数を比較すると、ピッチ角の小さい領域で、速度分布関数の形状に変化が見られた。上記のことから、ECH波動によるピッチ角散乱は、速度分布関数の形状を変化させるのに十分効率的である事を観測的に示した。 ホイッスラーモード波動は1MeV程度の電子に対しても効率的なピッチ角散乱を引き起こすことが理論的に示唆されている。ホイッスラーモード波動がディフューズオーロラを励起しているとすると、IMeV程度のエネルギーを持つ電子がディフューズオーロラ上空で観測される事が予想される。この仮説を実証するために、低高度(~600km)でMeV電子計測器を搭載しているSAMPEX衛星のデータと、昭和基地における全天カメラデータを組み合わせた解析を行った。ディフューズオーロラ上空を通過する際に、SAMPEX衛星では1MeVの降下電子フラックスが増大するイベントを複数例発見し、ディフューズオーロラに伴い相対論的電子が降り込むという予想を世界で初めて観測的に実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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