2012 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部ペプチド作動性神経活動の光操作による本能行動発現制御
Project/Area Number |
11J03531
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
常松 友美 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
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Keywords | オレキシン / オプトジェネティクス / メラノプシン / 徐波睡眠 |
Research Abstract |
睡眠覚醒は個体でのみ生じる生理現象のため、睡眠覚醒の本質を理解するためには個体レベルでの研究が必要不可欠である。そこで本研究では、近年急速に発展してきているオプトジェネティクスを適用することで、睡眠覚醒調節において非常に重要な役割を担うオレキシン産生神経(オレキシン神経)活動を光によって制御し、個体におけるオレキシン神経の生理的意義を詳細に解析することを目的としている。 平成24年度は、新たにオレキシン神経特異的に青色光活性化Gタンパク質共役型受容体であるメラノプシン(hOPN4)を発現する遺伝子改変マウスの作製に成功した。免疫組織化学的手法を用いた解析により、作製した遺伝子改変マウスでは、80%以上のオレキシン免疫陽性細胞においてhOPN4が発現していることを確認した。スライスパッチクランプ法によるin vitroの解析より、青色光を照射することで脱分極応答を示し、さらにその活性化は数分にわたって持続することが確認された。この遺伝子改変マウスから脳波および筋電図を記録することで、睡眠覚醒ステージを判定しながら、徐波睡眠状態のマウスに対し、両側視床下部に刺入した光ファイバーを介し、青色光を数秒間照射したところ、覚醒が惹起されることが明らかとなった。 本研究により、個体マウスにおいて、オレキシン神経のみの活性化が徐波睡眠から覚醒への移行スイッチとなり得ることが明らかとなった。本研究は、本年度Ectopic expression of melanopsin in orexin/hypocretin neurons enables control of wakefulness of mice in vivo by blue lightというタイトルでNeuroscience Research誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成24年度の研究計画では、新規作成した遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験を行う予定にしていた。実際に、in vivo自由行動下での睡眠覚醒パターンの解析を行い、オレキシン神経活性化に関しては本年度論文として発表した。オレキシン神経抑制に関しては現在投稿中であり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は現時点で順調に進展していると考えている。そのため、今後の方策としては早い時期での論文投稿を目指す。
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Research Products
(12 results)