2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J03577
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 幸治郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | mass problem / П^0_1 class / weak degrees / Weihrauch degrees / effectively strongly null / diminutive / Δ^0_n function / lowness |
Research Abstract |
研究目的の一つであったП^0_1マス・プロブレムの次数に関する性質を解明に関して,二種類の研究成果を得た.第一は稠密性の問題に関する成果で,W,及び,tl次数構造が稠密か否かという問題に関して,部分解を与えた.この部分解の証明の手法は,自然数の集合を入力として,その入力に相対的にП^0_1やП^0_2など,ある抑えられたの複雑さを持つ自然数上の関数の集合を出力とするオペレータを良い性質を持つように構成し,そのオペレータを使って稠密性の証拠となるП^0_1マス・プロブレムを構成するという手法である.望ましい性質を持つП^0_1マス・プロブレムを構成するために,上記のようなオペレータを経由する手法は独創的なものである.第二はП^0_1マス・プロブレムの「大きさ」を表す性質に関し,木原貴行氏との共同研究による成果である.集合論の分野で研究されていたStrong Nullnessという概念を計算理論の文脈でとらえ直し,П^0_1マス・プロブレムの性質として定義を与え,それがdiminutiveと呼ばれている他の概念と同値になることを示した.また,その性質を満たすП^0_1マス・プロブレムのW次数は,Martin-Loef乱数全体のw次数やDNRと呼ばれる関数全体のw次数と比較不可能になることを示した. もう一つの目的であった,より一般的な問題のクラスの探求に関しては,二種類の研究成果を得た.どちらも木原氏との共同研究により得られたものである.第一は,マス・プロブレムの間に導入されていた様々な還元可能性の概念を,定義域の分割やWeihrauch還元可能性により特徴づけたことである.この成果はマス・プロブレムの次数の研究とWeihrauch次数の研究に結びつきを与えるもので興味深い.第二は記述集合論の分野で研究されていたΔ^0_n関数(nは自然数)を計算可能性理論の文脈でとらえ直したものの定義を与え,その関数とlowと呼ばれる計算可能性理論の分野で考えられていた性質との関係を明らかにしたことである.導入されたΔ^0_nに対応する関数の集合は,記述の複雑さに関する階層を構成する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
w次数構造等の稠密性の問題を解決するためには,新しい証明手法の開発が不可欠である.筆者は幾つかの証明手法を開発したが,それらにより完全解を与えることは未だ出来ていない.П^0_1マス・プロブレムが大きいことや小さいことを表す概念について,より理解を深める研究をしている過程で,当初,想定していなかった測度論や乱数の理論と結び付く興味深い結果が次々と得られ,束構造の性質としての研究にまで至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
稠密性の問題に関しては,完全な解決に向けて,今後も引き続き研究を行う.П^0_1マス・プロブレムの「大きさ」を表す様々な概念が,当初は想定していなかった形で,乱数と深い関係があることが明らかになったので,今後は乱数についても研究を行う.平成24年度に研究を行う予定であった,Weihrauch次数が扱える問題たちに,マス・プロブレムと関連した記述の複雑さの階層を導入することに関して,Weihrauch次数が扱える問題たちに導入する記述の複雑さによる階層として,木原氏との共同研究により導入したlow_n関数やeffective Δ^0_n関数はよい階層をなしていることを既に明らかにした.後者でn=2のものは1次数と関連付けることができると予想しており,その研究を今後行う.
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Research Products
(6 results)