2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホップの芳香族プレニル化酵素遺伝子の機能解析と物質生産に向けた応用研究
Project/Area Number |
11J03628
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴丸 優介 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ホップ / トマト / プレニル化酵素 / プレニル化カルコン |
Research Abstract |
ビールの原料として不可欠なアサ科のホップ(Humulus lupulus L.)の雌花には、ルプリンと呼ばれる独特の組織がある。前年度の研究において、約1万のルプリンのExpression Sequence Tag (EST)クローンの中から、植物由来の芳香族基質プレニル基転移酵素HlPT-1を昆虫培養細胞に発現させて機能解析を行った結果、HlPT-1がホップ内在性のフロログルシノール誘導体のphlorisovalerophenone(PIVP)に1つのジメチルアリル基を転移する機能を持つだけでなく、フラボノイドのnaringenin chalconeをプレニル化しホップ内在性xanthohumolの生合成にも関与することを明らかにしていた。そこで今回の研究では、代謝工学によるプレニル化カルコンの生産を試みるため、カルコンがアグリコンの形で高含量で蓄積されているナス科のトマト(Solanum lycopersicum)にHlPT-1を過剰発現させ、ホップ遺伝子による組換え植物でのプレニル化化合物の生成を詳細に調べた。代謝産物の分析を組織別に行った結果、HlPT-1を35Sプロモーターで恒常的に発現させたトマトの果皮においてのみカルコンのプレニル化体が検出され、葉および根においては目的の化合物は認められなかった。また果実の形成初期では生成物が認められず、果実が赤く色付き出した生長段階で初めてプレニル化カルコン生産が認められた。HlPT-1が生産するプレニル化カルコン(desmethylxanthohumol)はpro-estrogenと呼ばれ、女性ホルモン作用を持つプレニル化フラバノンに変化する化合物であり、今回の結果から代謝工学を利用した植物由来のプレニル化カルコンの生産の道を示した。
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