2012 Fiscal Year Annual Research Report
湾曲π電子系を有するホスファグラフェン類縁体の合成と応用
Project/Area Number |
11J03688
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 士雄磨 京都大学, 工学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC2)
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Keywords | ヘテログラフェン / 有機リン化合物 / Friedel-Crafts反応 / π共役 / 典型元素化学 / 分子内環化反応 / 多環芳香族炭化水素 |
Research Abstract |
π共役系にヘテロ原子を有する化合物群は,π軌道に摂動が加わることで特異な物性を示すため,機能性材料として広範な用途展開が行われている。しかしながら,その多くは直線状に広がったπ共役環上にヘテロ原子を有するものであり,π共役環に囲まれた位置にヘテロ原子を組み込んだ化合物の合成例は限られ,その物性もほとんど明らかになっていない。今年度の研究では,昨年度までに開発した分子内タンデムホスファFriede1-Crafts反応の知見を基に,縮環部位の中心元素をホウ素,ケイ素,ゲルマニウムなどへ展開することに成功した。中でもホウ素―窒素結合で縮環したアザボラジベンゾクリセン類は,良好な両性半導体特性を有することを明らかとした。さらにπ共役系を拡張し螺旋不斉を持たせた[6]ヘリセン類縁体については,その光学純度により電荷担体の反転が起こることを見出した。本研究で得られた一連の結果は,含ヘテロ多環芳香族化合物の新規かつ効率的な合成手法を提示し,同化合物が有機電子材料として新規な物性を示すものであり,合成化学や材料化学などの関連諸分野において,学術上,実際上寄与するものと期待される。
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