2013 Fiscal Year Annual Research Report
脆性-塑性遷移領域における長石のレオロジーと水の役割の解明
Project/Area Number |
11J03694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福田 惇一 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アノーサイト多結晶体 / 水の導入 / 塑性変形の促進 / メルトの有無 / 固体圧変形試験機 / 含水量分布 / 微細組織 / 変形機構 |
Research Abstract |
本研究では, 岩石内部への水の導入と塑性変形の促進との関連性について評価するために岩石変形実験を行った. 試料は下部地殻のアナログとして平均粒径が1.5μmの純アノーサイト(An)多結晶体を用いた. Griggs型固体圧変形試験機を用いて, 温度900℃, 封圧1 GPaで0.5wt%の水を試料内部に導入させながら剪断変形実験を行った. 前年度まではAn+シリカリッチメルト5 vol%を試料として用い, 同様の実験を行ってきた. 本年度ではメルトが無い純An試料の場合で実験を行い, 両者の結果を比較することを目的とする. 純An試料を用い, 剪断歪速度が10^<-4.5>/秒の実験では剪断歪が0.5まで弾性変形し, 差応力が約700 MPaで降伏し, 塑性変形が開始した. 一方メルトを含む試料で同じ剪断歪速度の場合では, 弾性変形挙動はほぼ同じであるが, 降伏強度は約60 MPaであった. 試料内部に導入された含水量を赤外分光法で測定したところ, 純An試料では200-300ppm H_2Oであったことに対して, メルト有りの試料では400-600 ppm H_2Oであった. 剪断歪速度が10^<-5.0>/秒の実験では, 純An試料も約60 MPaで塑性変形が起こった. 回収試料の微細組織観察から両試料ともに割れはほとんど見られず, 水との反応を示すゾイサイトが見られた. また電子線後方散乱回折法による分析から, 両試料ともに結晶定向配列を作らずランダムであった. このことから, An自身の変形機構は粒径依存型クリープが支配的であることが分かる. このように, An^<+5>vol%メルトの試料ではおそらくメルトと粒界に水が導入され, 純An試料との含水量の差は200-300ppm程度である. また純An試料よりもその強度が一桁下がる. このように, メルトの有無によって, 水の導入に伴う力学強度の違いが明らかになりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(6 results)