2011 Fiscal Year Annual Research Report
学習過程がもたらす神経ダイナミクスの分岐構造と自発脳活動の生成
Project/Area Number |
11J03744
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗川 知己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 理論神経科学 / 自発脳活動 |
Research Abstract |
本研究では、近年盛んに研究されている自発的脳活動と刺激応答脳活動の類似性の機能的な意味を"memories as bifurcations"の元で学習・記憶の観点から調べることを目的とした。 本年度は申請書にあるようにミニマムモデルの構成、解析を行った。ここで用いたモデルは当初申請書にあるモデルをやや改良したものの、ほぼ同様のモデルである。 この解析により記憶したパタンの応答が小さくになるに従い、自発活動でも記憶されたターゲットを経巡りが小さくなることが明らかになった。この事により自発活動と刺激による誘起神経活動の類似性と記憶の程度が関係あることが示唆された。この成果は国際学会ICCN2011で発表され、現在論文が査読中である。 申請書では、この後遺伝的アルゴリズムを用いた研究をすすめることで、より広範なネットワークに対して、上述の結果を適用できるかを調べる計画であったが、単に遺伝的アルゴリズムでランダムにネットワークを探索するのではなく、一般的な学習ルールを用いて上述の結果を検証するモデルを構築することに成功した。 この学習モデルにより、上述の結果は単にミニマムモデルだけに成立する結果ではなく、もっと広いネットワークのクラスに適用できることが明らかになった。 この成果は現在論文にまとめている最中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2つの理由が挙げられる。 ・9.で述べたようにミニマムモデルも計画よりも改良したモデルを構成することができた。 ・当初の計画では遺伝的アルゴリズムをもちいてネットワークを探索する計画だったが、それよりも自然な学習ルールを作ることでネットワーク探索を行うモデルを構築できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
・ミニマムモデルの解析解を近似的にでもよいので、導出すること。 これにより、より定性的な理解が進むとかんがえられる。 ・学習モデルがどのような形で実際の神経系に組み込まれている可能性があるか探る。
|