2012 Fiscal Year Annual Research Report
べん毛フック繊維連結部の極低温電子顕微鏡による構造解析
Project/Area Number |
11J03788
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牧野 文信 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 温電子顕微鏡 / 単粒子像解析 / 連結部 / FlgK / FlgL / キャップ / FliD |
Research Abstract |
サルモネラなどの細菌は、数本のべん毛と呼ばれるらせん型プロペラを束にして回転することで、水中を自由に泳ぐことができる。べん毛は回転トルクを発生する基部体、ユニバーサルジョイントとして働くフック、プロペラに相当するべん毛繊維(繊維)に分けられる。フックと繊維の間は、フック繊維連結部(連結部)と呼ばれ、2種類のタンパク質で繋がれている。この連結部は、フックと繊維を強固に連結しつつ、ダイナミックな構造変化を互いに伝えず、繊維の構造変化を制御する機構を持っている。 本研究は、極低温電子顕微鏡像の画像解析法を用いて、連結部がもつこれらの機構を、立体構造に基づいて解明することが目的である。本年度は、L型およびR型直線繊維に結合したフック繊維連結部複合体(L型およびR型連結部複合体)の立体構造解析を行った。通常の画像解析法では、繊維およびフックがもつらせん構造による像パターンの影響が強いため三次元再構成に失敗した。そこで、連結部複合体に適した画像解析法を開発し、L型およびR型連結部複合体の三次元再構成に成功した。分解能はそれぞれ19Aと20Aである。これらの構造解析の結果、連結部を構成するFlgKとFlgLがそれぞれ11分子、細胞側からフック・FlgK・FlgL一繊維とらせん状に構築し、FlgKの外側のドメインがフックの外側のドメインと強く結合し、FlgKとFlgL、FlgLとFliCが素繊維方向に強く結合することがわかった。また、L型とR型連結部複合体の構造をフックに合わせて比較すると、連結部領域において素繊維方向の傾きが異なるということがわかった。この傾きの違いは、繊維がもつL型とR型の違いに酷似していることから、繊維同様にL型とR型でスイッチする構造であることが示唆された。このようにして連結部の機能を支える分子メカニズムの一端が明らかになった。 また今年度は、FliC分子の自己構築に重要なキャップと連結部の複合体の構造解析にも成功した。
|