2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J03906
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
桶葭 興資 独立行政法人理化学研究所, 分子情報生命科学特別研究ユニット, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 人工光合成 / 高分子 / 階層性 / 機能創発 |
Research Abstract |
近年、持続可能なエネルギー社会に向けて人工光合成に関する研究が急速に高まっている。一方、光合成を行う葉緑体は、高度に階層的な電子伝達組織を持つことで高次なエネルギー変換を達成している。ゆえに、人工光合成の実現には、生体の階層構造を考慮すべきである。本研究では、外界とエネルギー・物質の授受に開放的なゲルを用いることで、内部に高次な階層構造を組込み、可視光照射により内部の水から高エネルギー物質を生成する人工光合成ゲル、すなわち、「人工葉緑体」の創製を目指す。高分子網目を介在させて階層構造を導入することで、機能創発による人工光合成の実現が期待される。 本年度は、高分子を用いた階層構造化により、下記2つの方法から、システムの階層化に重要な因子を探索した。 1)合成高分子:各種機能分子を高分子中に導入し、それらの連携について評価した。 2)生体高分子:各種機能分子を高分子中に導入し、それらの配列・連携について評価した。 1)については、学会発表四件および、雑誌論文発表二件を行った。 2)については、合成高分子とは異なる新たな物性を見いだしており、その新しい進展が期待される。 上記2つの方法をとることにより、本来の光合成メカニズムの理解を深化させると同時に、人工光合成の実現の手がかりが得られると考えられる。また、エネルギー問題への対応が急速に叫ばれる中、本研究を推進させていくことは非常に重要な取り組みと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に基づいて二つの方法から進め、一つ目の方法からは学会発表および論文発表の成果を得た。また、もう一方の方法からは、新たな研究進展が期待できる実験結果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策について、今年度得られた新たな知見をさらに進展させると同時に、新たな研究領域を見出すことを試みたい。特に、生体高分子を用いた取り組みにおいて、分子設計から機能発現にいたるプロセスを見直し、そのメカニズムについても探求したい。
|
Research Products
(7 results)