2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析に基づくANAMMOXプロセスの高効率・安定化技術の創出
Project/Area Number |
11J04128
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押木 守 北海道大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | anammox / Brocadia sinica / 窒素除去 / ゲノム |
Research Abstract |
本年度は、1)ゲノム配列の完成度向上、2)鉄酸化呼吸能の確認、3)anammox活性の菌体密度依存性について調査を行なった。ゲノム配列の完成度向上については、ペアエンド法による高速シーケンスデータおよびfosmidライブラリーのスクリーニングデータを組み合わせることで、anammox細菌Candiatus Brocadia sinicaが持つゲノム全体の97%以上をカバーすると予測されるゲノム配列データを得る事ができた。これは過去に報告されているanammox細菌のゲノムデータを上回る品質であり、Ca.B.sinicaの生理学的特性を理解するために重要な基盤情報を得る事ができた。また、バイアル試験によって、Ca.B.sinicaの鉄酸化呼吸能について調査を行なった。第一鉄を電子供与体、硝酸を電子受容体とした場合に、硝酸還元によって亜硝酸が生成し、逐次的にanammox反応で消費されることを明らかにした。本反応を応用することによって、anammoxプロセスにおける、亜硝酸供給律速の緩和および処理水中の窒素濃度低減に寄与することが可能であると期待された。さらにanammox活性の菌体密度依存性について調査を行なった。Ca.B.sinicaを段階的に希釈し、anammox活性を^<29>N_2ガス生成速度に基づいて算出した結果、anammox反応が生ずるには少なくとも10^7cells/mlの菌体密度が必要であり、菌体密度の上昇に従ってanamox活性が増加することを確認した。また、Ca.B.sinicaの培養液上澄には、anammox活性を向上させるある種のシグナル分子が存在したことが、培養液抽出物を用いた試験によって明らかとなった。本シグナル物質を同定、添加することにより、高機能なanammoxリアクターを運転できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書において想定していた試験の大半を終える事ができており、2年目計画に速やかに取りかかれる状態にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書において予定していた2年目の作業に速やかに取りかかる。具体的には、鉄酸化リアクターの連続運転開始、菌体密度依存的に産生されるシグナル分子の同定を行なう予定である。また、最終年度におけるプロテオミクス解析のため、試料調整法等について予備検討を行なう。
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