2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04134
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 生 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 衝動性 / 内側前頭前野 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / ドパミン受容体 / 単一細胞記録 / 3-選択反応時間課題 / 薬物依存 / 自殺 |
Research Abstract |
採用一年目における研究計画は(1)「DHβE及びミルナシプランの衝動性抑制作用の作用機序解明」と、衝動性の神経メカニズムを解明するための準備段階として、(2)「単一細胞記録用電極と薬物局所投与用カニューレの埋め込み位置を決定する」であった。 (1)DHβE及びミルナシプランの衝動性抑制作用の作用機序解明 異常な衝動性の亢進は薬物依存や犯罪、自殺の危険因子となり得るのみならず、衝動性の亢進は注意欠如/多動性障害、境界性人格障害、気分障害、物質関連障害等の中核/周辺症状としても表出する。衝動性の神経機構の解明、そして衝動性抑制薬の開発は、現代社会が抱える深刻な問題を解決へと導く一助となるであろう。 採用者はDHβEをラット内側前頭前野腹側部へ微量注入し、10分後に3-選択反応時間課題を課したところ、DHβEの衝動性抑制効果の作用点は内側前頭前野腹側部ではないことを示唆する結果を得た。今後は、衝動性の調節に寄与していると言われている腹側被蓋野をターゲットに、同様の実験を行う予定である。 抗うつ薬であるルナシプランをラットへ腹腔内投与し、その50分後にD1/5受容体拮抗薬およびD2/3受容体拮抗薬を内側前頭前野腹側部へ微量注入し、10分後に衝動性評価試験である3-選択反応時間課題を課した。結果、ミルナシプランの衝動性抑制作用は内側前頭前野腹側部のD1/5受容体刺激を介していることを発見した。得られた結果を元に論文を作成し、Psychopharmacologyに投稿中である(Psych-2011-00657)。また、当該成果は第85回日本薬理学会年会において口頭発表された。 (2)単一細胞記録用電極と薬物局所投与用カニューレの埋め込み位置を決定する 採用者は衝動性の神経基盤解明のために必要な単一細胞記録用電極と薬物局所投与用カニューレを同一個体頭部に留置する事前実験に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用一年目における研究計画は「DHβE及びミルナシプランの衝動性抑制作用の作用機序解明」と「単一細胞記録用電極と薬物局所投与用カニューレの埋め込み位置を決定する」であった。採用者はDHβEの衝動性抑制効果の作用点は内側前頭前野腹側部ではないことを示唆する結果を得ている。また、ミルナシプランの衝動性抑制作用は内側前頭前野腹側部のD1/5受容体刺激を介していることを発見している。得られた結果を元に論文を作成し、現在Psychopharmacologyに投稿中である(Psych-2011-00657)。また、採用者は衝動性の神経基盤解明のために必要な単一細胞記録用電極と薬物局所投与用カニューレを同一個体頭部に留置する事前実験に成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)「DHβEの衝動性抑制作用のメカニズム解明」については引き続き、衝動性の責任脳部位と示唆されている側坐核ヘドパミン神経投射を行っている腹側被蓋野へD耶Eを微量注入して衝動性への影響を観察する実験を行う。 (2)申請書に記載した通り、衝動性亢進 (3)「内側前頭前野腹側部による側坐核の神経活動変化および衝動性の制御メカニズムの解明」については、3-選択反応時間課題では行動の統制が不十分であるため、単一細胞記録法を用いた検討に不適切であると判断されたため、より行動の統制がとれた衝動性評価系を新たに立ち上げる必要性が生じた。また、単一細胞記録法と薬物投与を組み合わせる実験を行う上で、より多電極の電極を用いたシステムを新たに立ち上げる必要もある。今年度はその二点の導入と妥当性を検討する基礎実験に従事する。
|
Research Products
(2 results)