Research Abstract |
1)岩質材料の高速破砕法の実験のみによる最適設計は困難である.本研究では,爆燃を利用した高速破砕法である放電衝撃破砕工法における破砕機構の解明を目的として,数値破壊解析および簡易実験を実施した. 本年度は,高速度カメラによる観察から,当該工法のおける主たる破壊機構は,生成ガス膨張により生じる応力波によりまず破砕形状が決まり,次にそれらにガスが流入し,破砕が完了することを確認した.そこで,ガス流を考慮する計画を変更し,解析では応力波のみを考慮し,起爆条件や装薬配置が破砕形態に及ぼす影響を分析し,解析結果が破砕実験結果と一致することを示した.扱いが困難な爆燃を簡易にモデル化する手法を導入した本研究結果は,他の爆燃による破砕工法の設計にも適用し得る.また,当該工法や発破などでは,円筒装薬孔が使用されることが多く,軸対称モデルを用いた破壊解析ツールを構築し,装薬孔底部側への亀裂進展・損傷を検証可能にした.これより,既往の解析断面と直行する断面の破壊解析が可能となり,簡易的な3次元破壊解析を実施できるようにした. 2)放射性廃棄物の地層処分への高強度高緻密コンクリート(以下コンクリート)の適用が検討されており,本研究では,コンクリートの水中における亀裂の閉塞現象の分析を実施した. 本年度は,人口亀裂を導入した供試体を水中に保存し,X線CTによる亀裂の閉塞を非破壊で観察し,CT観察後,SEM/EDXを用いた表面分析を実施した.また,独自に開発した画像処理法をCT画像に対して適用し,閉塞挙動の定量評価を行った. SEMの結果から,析出機構が水環境により有意な差を示すことを示した.また,EDXから得られた表面の析出量と,CT画像解析から得た析出量を比較することで,CT画像解析法の妥当性を明らかにし,閉塞現象のモデル化を実施した.これらは,放射性廃棄物の地層処分のような工学的プロジェクトを考える上で極めて重要な指針となると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は雑誌論文2本分の投稿および概要9.に記述した研究を同時に実施した.具体的には,概要9.の1)2)に関連した論文の掲載が決定し,有意な実績を残せた.現在,概要9.で得られた最新の結果をもとに雑誌論文(国際誌)2本を執筆中である.次に,研究については,概要9.の1)では新たに軸対称解析版の亀裂進展解析のツールを構築し,さらに2)ではX線CTやSEMIEDXに代表される観察や画像解析ツールの開発を行う等,多角的に取り組むことができた.以上より,1年という期間および雑誌論文受理状況も加味して,達成度としては概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
概要9.の1)では,3次元破壊解析ツールの構築は完了していない。これは,主に解析ツールのプログラムの並列化に伴い,当初の計画以上の開発時間を要していることによる.ベースとしている有限要素法では逐次矩理が多く,並列化による計算の高速化に伴い,計算法の大部分の見直しが必要である.来年度はCUDAによるGPGPU及びメニコアCPUの並列化を組み合わせたヘテロな並列化に関する知識を強化し,長大な計算時間を短縮するツールの構築を試みる.また,2)では,閉塞の温度依存性の検証も計画にあったが,SEM/EDXの結果とX線CT画像解析結果とを比較する際に,画像解析ツールを改良する必要があり,X線CT法とSEM/EDXを連成するという従来にない手法の構築に重点をおいた.今後も引き続き,供試体及び実験手法自体は現在までに提案している手法を用い,亀裂閉塞の温度依存性等,多角的に検討を行う,
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