2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04139
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
許 晶 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強磁性形状記憶合金 / メタ磁性形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / ホイスラー合金 / カイネティックアレスト現象 / 磁気変態 / 磁場ヒステリシス |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、メタ磁性形状記憶合金において特定の温度でマルテンサイト変態が停止するカイネティックアレスト(KA)現象の起源を調査し、またKA現象の応用を探索することである。以前の研究報告によると、KA現象は平衡論的にマルテンサイト変態の駆動力が温度の低下に伴ってゼロに近づく熱力学的現象と、カイネティックス的にマルテンサイト変態における変態ヒステリシスが温度の低下に伴って広がる動力学的現象、二つの物理現象によるものだと考えられる。本年度では、それぞれの物理現象の起源解明を目的とし、研究を行った。 強磁性形状記憶合金であるNiMnGaにCoを置換することで、NiCoMnGa合金でKA現象が出現することが先行研究によって知られている。そこで、本年度はNi_<50>.、Co_xMn_<50-y>Ga_y合金系を用いて、Co添加によるKA温度の変化を系統的に調査することと共に、CoとGa組成を変数とした磁気相図も決定した。その結果、Coの添加に伴って、KA温度が上昇する傾向が見られた。また、NiCoMnIn系合金のKA温度が130Kであることに対して、19%のCoを添加した合金でKA温度が室温付近まで上昇し、NiMn基合金で最も高いKA温度を得ることに成功した。この結果はCIMTECで発表し、これから論文に投稿する予定である。 なお、磁場ヒステリシスの変化といった動力学的調査も行った。NiCoMnInとNiCoMnAlといった磁場ヒステリシス温度依存性の異なるサンプルを用いて、温度変化および磁場印加による光顕組織の変化をその場で観察した。その結果、組織でも区別が見られ、またその区別を動力学的原因を考慮したモデルで説明することができた。この結果は秋期金属学会で発表し、Mater.Transに掲載された。その一方、定常磁場、準定常磁場とパルス磁場といった異なる掃引速度の磁場を用いて磁化測定を行い、磁場ヒステリシスの変化が見られた。また、カイネティックスの影響を考えると、半定量的にその変化を説明することができた。この結果はNon-ergodic現象におけるワークショップで発表し、これから論文も投稿する予定である。
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Research Products
(9 results)