2012 Fiscal Year Annual Research Report
多精受精モデル、鳥類の新規卵子活性化機構の探索とクローン鳥類創出への挑戦
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11J04152
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
水島 秀成 静岡大学, 農学部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 顕微授精 / 多精子侵入 / 精子抽出物 / phoshpolipase Czeta / 生理活性物質 / Ca^<2+>オシレーション / クロマトグラフィー |
Research Abstract |
顕微授精(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)法および体外培養によって得られたウズラ胚は、原条が観察される胚ステージ6までの育成が最高であり、未だ個体孵化には至っていない。多精子侵入が関与する卵子活性化を体外で再現できていないことが最大の要因である。精子抽出物(sperm extracts:SE)を応用してICSIウズラ胚の孵化育成を行うとともに、それに関与する卵細胞質内Ca^<2+>波を時空間的に観察した。SEの投与はphoshpohpase Czetaによる一過性のCa^<2+>上昇を誘起するだけではなく、その後に他動物では全く観察されていないスパイラルCa^<2+>オシレーションが観察され、それが1時間以上継続した。またこのスパイラルCa^<2+>オシレーションを誘起できたICSI卵は、発生した5割以上の胚が胚ステージ6を超えて発生し、その内の1個体が孵化した。これまでに卵管から取り出した1細胞期の受精卵を、体外培養のみで孵化させることは可能であったが、体外受精と培養を全て体外で行って孵化に成功した例は世界でも初めてとなる。またスパイラルCa^<2+>オシレーションを誘起する生理活性物質(sperm-borne oocyte-activating factor:SOAF)を同定する目的で、SEをゲル濾過クロマトグラフィーにより分離した。30-90kDaの画分に新規SOAFが含まれていることが分かり、SDS-PAGEおよびLC-MS/MS解析によってその新規SOAFは2つ必要であることが分かった。さらにこの2つの新規SOAFの発現解析を行なった結果、2つのタンパクとも精子特異的なアイソフォームトして存在していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ウズラICSI胚を孵化させることに成功した。さらにその発生を誘起する新規SOAFの同定に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に同定した新規SOAFのタンパクをコードする遺伝子クローニングを行なっており、phospholipase Czetaと組み換えタンパクあるいはcRNAを同時投与することでICSIウズラ胚の孵化が再現できるか検討する予定である。さらに新規SOAFを応用したトランスジェニックICSIウズラ胚と核移植ウズラ胚の孵化育成を目指す。
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Research Products
(23 results)