2012 Fiscal Year Annual Research Report
MORBはどこでどのように形成されるのか?:オマーンオフィオライトからの貢献
Project/Area Number |
11J04217
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
秋澤 紀克 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MORB(中央海嶺玄武岩) / 調和的なダナイト / ハルツバーガイト / 北部オマーンオフィオライト / 1-D steady state modeling / セグメント構造 |
Research Abstract |
セグメント構造を反映したメルト上昇過程の違い かつての海洋リソスフェアが陸上にのし上げている北部オマーンオフィオライトは、セグメント構造(中央海嶺で存在する海洋底拡大軸の不連続)が良く推定されている。そのため、温度の違いに応じた最上部マントルでのメルトの上昇過程の違いを可視化できる可能性を秘めている。そこで本研究では、中央海嶺下でメルトの上昇チャネルであったと考えられている周りの構造と調和的なダナイトを使用して、セグメント構造を反映したメルト上昇過程の解明を目標とする。これにより、高速拡大海嶺下でのメルト上昇過程の全体像がつかめると期待できる。 様々な場所で露頭観察・サンプリングを行った結果、ダナイトの太さ・出現頻度がセグメント中心で多いことが分かった。また、多くのサンプルを処理することで、セグメント構造を反映した系統的な鉱物化学組成の違いも明らかになってきた。 メルト/かんらん岩相互反応に伴うメルトの化学組成変化をモデリングするため、東京大学の小澤一仁教授に協力して頂いた。1-D steady state modelingを行うことで、メルト上昇中のメルト/かんらん岩相互反応の程度は中心でより高く、メルトの上昇率はセグメント端でより高いことが分かった。 以上のことは、セグメント中心でより温度が高く、メルトチャネルが効率良く形成されていることを反映していると考えられる。また、中央海嶺下でメルトチャネルを定常的に維持するために、マントル上昇に伴い細いチャネルが消滅していく現場も発見できた。本研究により、中央海嶺下でのメルト上昇過程におけるメルトの化学組成的制約を加えられ、その現象の理解が飛躍的に発展することは間違いないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記のように、本研究はその達成に向けて終盤を迎えている。その成果は多くの学会で発表済み、または発表予定である(下記参照)。また、その成果を論文化する準備も進行中である。以上のように、本年度中に本研究を完成させることは可能であり、その成果は多くの研究者の注目を引くに値すると考えられる。これは、研究計画より研究が進展したことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
鉱物化学組成のデータ蓄積は満足に行うことができた。しかし、その構造観察・分析がまだ不十分である。そこで、今後はその点を詰めていく。既に、その専門家である静岡大学の道林克禎博士に連絡を取りその進展に向けて動き出している。近いうちに上記問題点は解決できると考えられる。
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Research Products
(5 results)