2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA周期配列への電子スピン導入によるロイドモデルの化学的構築に関する研究
Project/Area Number |
11J04277
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
厚見 宙志 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | デオキシリボ核酸(DNA) / 電子スピン共鳴(ESR) / DNAナノ構造 / 量子化学 |
Research Abstract |
本研究は、DNAのナノ構造と核酸塩基に結合する小分子を利用することで、多次元空間における特定のアドレスに電子スピンを配置するmolecular-based nanotechnologyを目的とした研究である。これまでにDNA中のミスマッチ塩基対部位に結合する小分子に安定ラジカル分子をコンジュゲートさせた分子を利用することで、DNA二本鎖上の特定のアドレスに電子スピンを配置することに成功していたが、新たにDNAの相補的塩基対を利用して一次元DNAナノ構造をテンプレートとして、多次元空間上の特定のアドレスへ電子スピンを規則的に配置することに成功した。ナノスケールなDNA上に整列した電子スピンアレイは、ラジカル電池、動的核分極のためのスピン集積材料や、DNAナノ構造上に規則的に配置された電子スピンの酸化還元能を利用した化学反応場としても期待出来る。本研究で用いる電子スピン含有小分子は、G-Gミスマッチに結合するNaphthyridinecarbamate dimer(NCD)を骨格とし、2,2,6,6-tetramethylpiperidine N-oxide (TEMPO)及びNitronylnitroxide(NN)をコンジュゲートしたNCD-TEMPOとNCD-NN、また、A-Aミスマッチに結合するNaphthyridineazaquinolone(NA)を骨格としたNA-TEMPO,NA-NNの四種類である。二種類の異なる電子スピンと核酸塩基結合小分子(NCD-NNとNA-TEMPO)を利用して、一次元上に伸長したDNA上に、周期的な一次元電子スピンアレイを構築した。一次元電子スピンアレイの構築のテンプレートとなるDNAは、1)自発的には二本鎖を形成しない、2)各小分子結合サイトを含み、のりしろとなるoverhang領域を有する設計となっており、NCD-NN及びNA-TEMPOの両方の小分子を添加した場合にのみDNAは一次元上に伸長し、一次元電子スピンアレイの構築に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次元電子スピンアレイに関する研究結果は、DNAナノ構造上における電子スピンの整列、すなわちロイドモデルの化学的構築に大きな寄与を果たす結果であり、世界的な科学雑誌Chemistry-A European Journalにも掲載済みであることから「研究の目的」としておおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ロイドモデル構築のために第三q-bitの合成、およびパルスESRによる各ラジカルの選択的励起の実験を行う。溶液中における実験系がうまく進まない場合は、DNA上に整列した電子スピンを材料として、量子コンピュータ構築のためのロイドモデルのみならず、他の応用に向けた研究も行っていく。DNA上に整列したラジカル分子の酸化還元能を生かして、DNA上における金属ナノ粒子の生成やラジカル電池の構築を目指した研究へ向けたアプローチを現在設計している。DNA上に金属ナノ粒子が整列することで、ナノオーダーの金属配線や回路が実現できる。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
[Presentation] Electron spin arrangements on the DNA nanostructures2011
Author(s)
Atsumi, H.; Maekawa, K.; Nakazawa, S.; Shiomi, D.; Sato, K.; Kitagawa, M.; Takui, T.; Nakatani, K.
Organizer
The 50th Annual Meeting of the Society of Electron Science and Technology & Joint International Workshop with Institute for Material Research (SEST2011)
Place of Presentation
Sendai, Japan
Year and Date
2011-11-16
-
[Presentation] Electron spin arrays on DNA nanostructures2011
Author(s)
Atsumi, H.; Maekawa, K.; Nakazawa, S.; Shiomi, D.; Sato, K.; Kitagawa, M.; Takui, T.; Nakatani, K.
Organizer
The 38th International Symposium on Nucleic Acid Chemistry (ISANC)
Place of Presentation
Sapporo, Japan
Year and Date
2011-11-11
-
[Presentation] Organic radicals embedded on DNA nanostructures2011
Author(s)
Atsumi, H.; Maekawa, K.; Nakazawa, S.; Shiomi, D.; Sato, K.; Kitagawa, M.; Takui, T.; Nakatani, K.
Organizer
MDF Workshop, Open-shell Organic Molecules -Synthesis and Electronic Structure Freedom-
Place of Presentation
Osaka, Japan
Year and Date
2011-10-07
-
-