2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNA周期配列への電子スピン導入によるロイドモデルの化学的構築に関する研究
Project/Area Number |
11J04277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
厚見 宙志 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | デオキシリボ核酸 / 電子スピン共鳴(ESR) / DNATile / 量子化学 |
Research Abstract |
本研究は、DNAのナノ構造を足場とし、DNAのナノ構造を認識する電子スピン含有小分子を利用することで、空間上の特定のアドレスに電子スピンを配置し、有機分子ベースな量子コンピューティング材料の創成を目指した研究である。昨年度までに、DNAの相補的塩基対を利用して一次元上に伸長したDNAナノ構造をテンプレートとして、一次元空間上の特定のアドレスへ電子スピンを規則的に配置することに成功していた。ナノスケールなDNA上に整列した電子スピンアレイは、ラジカル電池、動的核分極のためのスピン集積材料や、DNAナノ構造上に規則的に配置された電子スピンの酸化還元能を利用した化学反応場としても期待出来る。昨年度はロイドモデル構築のために第三のQ-bitが必要であると記載したが、二つのQ-bitでもロイドモデルの構築が可能であると主張する論文が報告されており、今年度は、電子スピンアレイを一次元から二次元に拡張することを目的とし、DNA Tileを作成した。DNA Tileは、DNAの自己会合能(相補鎖塩基対認識能)を利用することで形成されている。このDNA Tile上に、DNAのナノ構造を認識する小分が結合出来るDNAを伸長し、相補鎖と小分子を添加することでDNA Tile上に二本鎖が形成できるように設計した(小分子結合時にのみDNA二本鎖が形成するよう設計した)。これを原子間力顕微鏡(AFM)で観測することで、二次元電子スピンアレイが構築出来ていることを確認した。電子スピン共鳴により、DNATile上に存在する電子スピンの運動性は、DNA二本鎖上に存在するときよりも抑制されていることが分かった。これは、DNA Tileの二次元性に起因すると考察出来る。以上の結果を、現在、論文として投稿している。
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Research Products
(1 results)