2011 Fiscal Year Annual Research Report
内耳蝸牛管側壁における糖輸送体の局在とその調節機構の解明
Project/Area Number |
11J04313
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
枝松 緑 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内耳 / 蝸牛 / 血管条 / ミオイノシトール / グルコーストランスポーター |
Research Abstract |
内耳蝸牛管側壁を構成する血管条は,音感受細胞(有毛細胞)が音受容能を発現するための,いわば増幅器の役割(内リンパ液へのK^+の分泌・内リンパ直流電位の生成)を担っており,その機能異常は直ちに難聴を引き起こす。血管条は特異な毛細血管網を有し,高い代謝活性を維持しているがその詳細な糖輸送メカニズムは未だ不明である。これまでの遺伝子解析から,それぞれ特有の機能を有する複数の促進拡散型の糖輸送体(GLUT)が蝸牛管側壁に発現していることを明らかにしている。今年度は,遺伝子発現が確認できたGLUTタンパク質の特異的抗体を入手し,蝸牛管側壁におけるその局在を免疫染色法により解析した。 GLUT13(HMIT)は蝸牛管側壁の血管条とラセン靱帯において発現が確認できた。血管条単離細胞に免疫染色法を適用し発現する細胞の同定を行い,細胞内のより詳細な局在部分を明らかにするため免疫電子顕微鏡による超微形態学的解析を行っている。またその他のGLUTファミリーについても同様に局在解析を行っている。 HMITはGLUTファミリーに属しながらもミオイノシトールの輸送体であることがすでに報告されている。ミオイノシトールは浸透圧調節物質のひとつであり,その蝸牛における働きは現在まで明らかになっていない。今後は糖輸送体の局在を明らかにすることと同時に,HMITの調節機能に着目し,ミオイノシトールの蝸牛における生理的意義を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蝸牛管側壁においてHMITの局在が明らかになりつつあり,その一部について現在論文投稿準備中である。また,その解析手法はGLUTファミリーの局在を検討する際においても応用できるものであり,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,遺伝子解析から発現が確認できたGLUTについて,その血管条における局在を引き続き検討していく。それらのうち血管条辺縁細胞へのグルコース取り込みを担うものがない場合は,新規糖輸送体遺伝子のクローニングを行う予定である。
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