2011 Fiscal Year Annual Research Report
気液砕波乱流中の力学機構に基づく大気―海洋間気体輸送フラックスモデル
Project/Area Number |
11J04354
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新井田 靖郎 北海道大学, 大学院・工学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 大気-海洋間気体輸送 / 気泡 / 蛍光励起画像計測 / PIV / バックライト法 |
Research Abstract |
沿岸域生態系の保全を図る上では,大気から海中への酸素輸送の評価が重要となる.海中溶存酸素濃度は砕波ジェット着水時に混入する大量の気泡によって大きく左右され,本研究の最終目標である大気-海洋間気体輸送モデルには気泡と気体輸送速度の定量化が不可欠である.研究代表者らの昨年度までの研究によって,気泡周りの瞬時面的酸素濃度場を取得する手法が確立され,酸素輸送速度及び酸素濃度上昇域は気泡サイズ分布に対して極めて敏感に変化する事が明らかになった.そこで本年度は,固有の径で構成される気泡プルームに蛍光励起画像計測,バックライト法,Particle image velocimetry(PIV)からなるハイブリッド画像計測を適用し気泡サイズに応じて変化する酸素輸送拡散速度の定量化並びに酸素溶解ソースモデルの開発を行った.本研究では,気泡混在下の酸素濃度をソース項を有する拡散方程式をベースに空間方向に数点の酸素濃度時間変化を代数的に与え,最小自乗法により求めた.ソースファンクションは気泡の直接的な寄与を示すため,気泡表面積に対して線形的に増加する.また,ここでの拡散係数は気泡によって引き起こされる液相乱れと関連しているため,気泡サイズに依存している.同一の数密度ならば,大径気泡は小径気泡に比べ気泡表面積が大きく,周囲流体の乱れへの寄与が大きいため酸素輸送・拡散は大きくなる.本年度の研究は,全球的な気候変動を背景にした近海域生態系の劣化が危惧されるなかで,沿岸環境評価の基礎モデル構築に必要な気泡から水中への酸素輸送を定量的にパラメータ化するものであり,その意義は大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の交付申請書に記載した任意の気泡サイズに対する酸素輸送の定量化を達成したため,おおむね順調に研究は進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の前半で,砕波時の気体輸送機構に関する実験を行い論文にまとめる.今年度後半では,気液砕波数値モデルを開発する.
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