2011 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素キノレート錯体類とπ電子系の相互作用を活かした発光性共役系高分子の創成
Project/Area Number |
11J04393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
所 雄一郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共役系高分子 / 有機ホウ素化合物 / 有機ケイ素化合物 / 高配位ケイ素化合物 |
Research Abstract |
1.アミノキノリン-ボラフルオレン錯体部位を主鎖に有する共役系高分子の合成 ホウ素アミノキノレート化合物は、数多く研究されているアルミニウムキノレート錯体と比較して発光効率や安定性が良く、有機EL材料等への応用が期待されている。また、ホウ素アミノキノレートは強い発光を示すだけではなく、LUMOが低く電子アクセプターとして機能し電子移動を誘起する可能性を有する化合物である。電子移動は太陽電池で重要な電荷分離の初期過程に相当する。本研究ではアミノキノリン-ボラフルオレンの直交型錯体骨格により主鎖の共役が拡張したポリマーの合成を行い、その紫外吸収および発光特性について検討した。ドナー性側鎖を有する場合、励起された主鎖はホウ素アミノキノレート部位への電子移動経由と考えられる無輻射失活を起こした。一方、アクセプター性主鎖を有する場合は電子移動が抑制され、ホウ素アミノキノレート部位からの強い蛍光が得られた。このドナーアクセプター直交型共役系ポリマーは側鎖に応じて発光強度を大きく変化させられるだけではなく、電子移動を起こすことから、刺激応答性のセンサーや有機太陽電池等への応用が期待できる。 2.ベンゾキノリル配位子を用いた五配位ケイ素錯体の合成 通常のケイ素は四配位状態であるが、立体的に束縛された条件下等では五配位や六配位状態となることが知られている。しかしながら、中性で安定な五配位ケイ素錯体を得るための汎用性の高い手法はほとんどなく、それらの物性については未解明な部分が多い。本研究においてベンゾキノリル配位子は五配位ケイ素を発生させるための有用な配位子であり、ケイ素上に様々な置換基を導入できる汎用性を有していることを明らかにした。また、ケイ素上の置換基が錯体の構造と発光に大きな影響を及ぼすことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異な発光特性を有する有機ホウ素化合物と有機ケイ素化合物の合成に成功し、その成果を1件の学術誌での原著論文と4件の学会発表として報告することがてきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
構造が明確な五配位ケイ素錯体の合成に成功し、五配位状態が配位子の発光特性に及ぼす影響については明らかになりつつある。今後は五配位ケイ素錯体に様々な置換基を導入し、構造・電子状態・発光特性の間の関係についてさらに理解を深める。さらにシラフルオレンなどの共役系有機ケイ素化合物中における四配位状態と五配位状態が光学特性に及ぼす影響について検討を行う。
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