2012 Fiscal Year Annual Research Report
機能的個体発光観察法を用いた神経活動依存的な遺伝子発現の意義の解明
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11J04506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳下 楠 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 個体発光観察法 / 学習・記憶 / Arc / 最初期遺伝子 / ルシフェラーゼ |
Research Abstract |
本研究では、記憶・学習といった、高次情報処理課題遂行時の神経活動依存的な遺伝子発現の可視化を目指すものである。その目的遂行のために、神経活動依存的に転写調節される、最初期遺伝子の一つであるArc遺伝子のプロモーター領域を利用し、発光を呈する酵素であるルシフェラーゼを付加したトランスジェニックマウスを作成し、発光観察系の開発と高次情報処理課題の設定を行うものである。 本研究を遂行するにあたり、課題遂行時の発光を観察できるような高感度発光観察系の確立が必須であった。23年度に長時間安定して発光シグナルを観察する系の開発として、顕微鏡の種類や基質ルシフェリンの投与方法等を検討し、条件を確定させたが、24年度はより定量的な長時間イメージングを可能にするべく、恒常的にルシフェラーゼを発現させるウイルスの脳への局所感染法を導入し、トランスジーン由来のルシフェラーゼ発光シグナルとの比較による定量的な計測方法を検討した。導入するウイルス系列の作成をはじめとして、局所感染の方法およびウイルス由来の発光シグナルとトランスジーン由来のシグナル強度比の検討などを行い、視覚刺激による視覚野の応答を観察している。 また、本研究で用いる高次情報処理課題のモデルとして、匂い―報酬連合学習課題を設定し、野生型マウスおよびトランスジェニックマウスにおける学習の成立するトレーニング方法の検討を行っていたが、このトレーニング方法を用いて上記発光観察系と組み合わせて学習成立前後での発光観察を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実施計画」に基づいた研究計画は順調に進行しており、高感度発光観察系の発展・改善とトランスジェニックマウスでの連合学習課題への応用を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、確立された高感度発光観察系を用いて、連合学習課題遂行における様々なタイムポイントでの長時間発光観察を行っていく所存である。
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