2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04515
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 健志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ねじれ振り子 / マイケルソンレーザー干渉計 |
Research Abstract |
近年、超弦理論やM理論といった量子重力理論で余剰次元の存在が指摘されており、余剰次元は重力の逆二乗則からのずれを引き起こす。この実験は近距離における重力の逆二乗則からのずれを測定することによって余剰次元を探査することを目的としている。ねじれ振り子による余剰次元探査のための重力の逆二乗則実験はワシントン大学が世界最高感度を出しているが、本実験ではマイケルソンレーザー干渉計と超伝導磁気浮上を用いることでこれを超える感度の実現を目指している。超伝導磁気浮上には大きな浮上力でかつ散逸が小さいというメリットがあるが磁場雑音が効いてくるというデメリットもあった。しかしこれは磁気シールドで装置を囲うことで十分な雑音レベルにまで低減することができた。他にも低周波で大きくなる雑音が感度を制限していたが、これは電源系の雑音がエイリアシングによって低周波に折り返しているために起こる雑音であったことを明らかにし、サンプリング周波数を上げることでこれを十分低減した。まだ世界最高感度の更新には至っていないが、これらの雑音対策によって以前より感度が向上した。また、テストマスとソースマスの距離が近いことによってガスダンピング雑音が増大するスクイーズドフィルムダンピングという現象が起こることが近年指摘されたが、ねじれ振り子を用いてこの効果の距離依存性を測定してこれが本実験で感度を制限しないレベルであることが確かめられた。さらに、昨年6月にはワシントン大学に約一か月間滞在して低温のねじれ振り子実験に参加し、最先端の実験成果を出している環境において実験のノウハウを学んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験では線形レンジのせまいマイケルソンレーザー干渉計を用いるためにテストマスの回転を制御しているが、制御に起因する特定できていない雑音が感度を制限しており、これが低減できないため予定よりもやや進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
感度の良いマイケルソンレーザー干渉計をテストマスの回転の読み取りに用いているが、この線形レンジが狭いため、テストマスの回転運動をフィードバック制御しており、この制御系の雑音が本実験の感度を制限している。これに対してレーザーの二つの偏光の位相を90°ずらして二つの干渉光の強度をモニターすることにより制御をしないでもマイケルソンレーザー干渉計の感度を実現する方法があることが最近指摘されている。今後はこの方法によって本実験の感度向上を目指す。
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