2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04541
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤原 崇志 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 亜鉛 / 輸送体 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
重金属の一つである亜鉛は、土壌中に過剰に蓄積すると植物の生育を阻害することが知られている。亜鉛耐性植物の創製には亜鉛ストレス耐性機構の解明が必須であり、これまで当研究室では、シロイヌナズナArabidopsis thalianaから亜鉛ストレス耐性に必須な亜鉛輸送体AtMTP1を同定した。したがって、今後は細胞内の過剰亜鉛を感知する分子の同定が非常に重要となる。 AtMTP1のホモログであるAtMTP12は、アミノ酸配列の長さがAtMTP1を含む他のAtMTP_sと比べて約2倍もあり、後半部分が他のAtMTP_sと類似している。そこで申請者は、AtMTP12は亜鉛輸送能を担う後半部分と、過剰亜鉛感知能を担う前半部分から成る、「亜鉛トランセプター」ではないかと推察した。 2011年度、研究代表者は、A.thalianaにおけるAtMTP12遺伝子の発現解析を行った。その結果、加齢や器官別による発現量の違いは見られなかった。次に、プロモーターGUS解析を用いてAtMTP12遺伝子の組織特異的発現を調査した結果、托葉や花序、トライコームなどの組織で強いシグナルが観察された。しかし、亜鉛ストレスによる発現量の上昇や、発現部位の変化などは見られなかった。また、AtMTP12ORFを酵母に導入し、亜鉛輸送能を調査したが、形質転換酵母は亜鉛輸送活性を示さなかった。現在は、AtMTP12タンパク質の発現を調査するため、AtMTP12:GFP(green fluorescent protein)融合遺伝子をAtMTP12プロモーターの下流に繋ぎ、A.thalinaの培養細胞T87株に導入している段階であり、今後は、T87から単離した粗膜画分を用いてイムノブロットを行い、AtMTP12が本当に分子量の大きいタンパク質かを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「当初の計画以上に進展している。」と出来なかった理由として、AtMTP12遺伝子のクローニングの難しさが挙げられる。この遺伝子は大腸菌との相性が悪く、単離に相当の時間を要してしまった。しかし、最終的にクローニングに成功したので、今後は順調に進むと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、AtMTP12の細胞内局在性の解析、タンパク質の発現解析、輸送解析を中心に研究を行う予定である。また、A.halleriのMTP1(AhMTP1)の遺伝子発現を制御する転写因子についても、引き続き探索を行いたい。予想に反してAtMTP12は亜鉛輸送活性が示されなかったため、対策が必要となる。申請書では、AtMTP12の全長、前半部分、後半部分の3種類のAtMTP12を用意し、それぞれの輸送活性を測定するとあるが、これに加えて、他のイオンについても輸送活性の有無、また、遺伝子、ベクター、菌株についても組み合わせを変えて実験を行い、輸送活性を調査する予定である。
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Research Products
(1 results)