2012 Fiscal Year Annual Research Report
組織内酸素分圧による造血器腫瘍幹細胞維持機構の解明と制御法の開発
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11J04561
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 千春 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 白血病幹細胞 / 慢性骨髄性白血病 / 低酸素 |
Research Abstract |
白血病幹細胞(leukemic stem cell;LSC)の残存は、再発・治療抵抗性の一因であるが、LSC維持の分子機構は未だ十分には解明されていない。報告者の属する研究室ではこれまで成体骨髄における活性酸素種と低酸素環境のHSCへの影響について研究してきた。今回、報告者はHSCと同じく低酸素環境に存在すると推定される慢性骨髄性白血病(CML)-LSCの新たな治療標的を同定するために、CMLマウスモデルを用いて、CML-LSCに特異的に発現している細胞表面マーカーを探索した。そこでCMLモデルマウスの骨髄細胞を採取し、GFP陽性と陰性の集団に分け、さらにGFP陽性集団からLSK分画と、より分化した細胞集団であるLineage-Sca-1-c-Kit^+;KLS-分画を分取し、GFP陰性のLSK分画と合わせ、他の腫瘍幹細胞で指摘されている細胞表面マーカーや造血幹細胞に関連する細胞表面マーカーの発現をFACSにて解析した。その結果、GFP陽性LSK分画に特異的に発現している細胞表面マーカーを見出した。このマーカーのノックアウトマウスの骨髄由来LSKを用いたところ、CMLの発症が有意に低下した。また、このマーカーの阻害薬によるCMLの治療モデルも有効であることが明らかになった。さらに初発CML患者の骨髄検体においても、CD34^+CD38^-CML幹細胞分画において、正常骨髄検体と比較した場合に、このマーカーの発現が高いことも見出した。以上の研究成果を現在、論文にまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウスおよび、阻害薬の検討から、機能的にも今回同定したマーカーの重要性を明らかにした。さらにヒト検体を用いたCML幹細胞分画の解析でも本マーカーの発現を確認でき、臨床応用まで視野に、多面的に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回同定した、CML幹細胞特異的マーカーの発現を制御する機構の同定。また、骨髄微小環境と、CML幹細胞の関係を明らかにし、CML幹細胞の維持機構を見出していく。
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