2012 Fiscal Year Annual Research Report
地殻流体-岩石相互作用によるき裂と鉱物脈の時空間発展プロセスの解明
Project/Area Number |
11J04630
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
最首 花恵 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 水熱実験 / シリカ鉱物 / 鉱物脈 / シリカスケール / 地熱発電 / 脆性塑性遷移領域 |
Research Abstract |
地殻流体からの鉱物析出による開口き裂閉塞メカニズムと地殻内部イベントとの関連性を明らかにするため,本年度はシリカ鉱物析出に対する微量元素の影響と,熱水対流-熱伝導境界とシリカ鉱物溶解析出の関係について考察を行った. 微量元素に関しては,石英と曹長石をそれぞれ溶解して作成したSi過飽和溶液を用いて析出実験(31MPa, 430℃)を行った,Si=200ppm, A1=30ppmの溶液からは曹長石が析出した. 熱水対流-熱伝導境界とシリカ鉱物析出反応については,岩手県の葛根田地熱地帯を例に考察を行った.申請者はWD-1aの温度圧力条件に沿った石英溶解度の計算を行い,熱水対流-熱伝導境界の深度に溶解度の極小値が一致することを明らかにした.また,境界近傍における析出現象を検討するため,シリカ鉱物析出の温度依存性の実験を行った.析出実験では24および31MPa圧力下,析出管温度を170-430℃に設定したところ,高温の水の超臨界環境下でのみ多量の析出が起こった.葛根田地熱地域の熱水対流域-熱伝導域の境界付近では,多量の石英の析出が深部地殻からの上昇流体でも浅部を循環している天水からでも起こりやすく,もし岩石中にき裂が形成してもすぐに閉じられてしまう可能性が示唆された.岩石強度や地震など地球物理で扱われてきた地殻岩石の透水性における,鉱物の溶解析出(地球化学)の持つ意味が示されたことは意義のある結果である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微量元素とシリカ鉱物析出の関係については,前年度の結果に加える新しい知見はまだ得られていないが,実験条件を拡張することができたので,今後の研究推進につながると思う,また,葛根田地熱地帯を例に挙げることにより,シリカ鉱物析出と地殻内部の構造および現象の関係性をより具体的に示し,本研究の地球科学の普遍的問題に対する意義が明確になった.
|
Strategy for Future Research Activity |
微量元素の影響など,これまでの実験で得られたパラメータを考慮し,新しいシリカ鉱物析出反応速度式を導出する.実フィールド(葛根田など)におけるシリカ鉱物の溶解析出の計算を行う.
|
Research Products
(8 results)