2011 Fiscal Year Annual Research Report
miRNA経路におけるRISC積み込み因子の探索と同定
Project/Area Number |
11J04636
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 真希 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | miRNA / RISC / Argonaute / シャペロンマシナリー / 生化学 |
Research Abstract |
small RNAはタンパク質をコードしない20-30塩基程度の小分子RNAであり、様々な生物種の遺伝子発現制御に重要な役割を担っている。代表的なsmall RNAであるsiRNAやmiRNAはRISCと呼ばれるエフェクター複合体を形成し、標的RNAの切断や翻訳抑制を行う。RISCの中心となる因子はArgonaute(Ago/miRNA経路ではAgo1)と呼ばれるタンパク質である。これまでに我々は、Hsc70/Hsp90シャペロンマシナリーがRISCへの二本鎖RNAの積み込みに必要であることを明らかにした。しかしながら、必要な全ての因子や、具体的な作用機序については未だ明らかになっていなかった。そこで本研究は、ショウジョウバエmiRNA経路におけるRISC積み込みに必要な全ての因子の同定と、Ago1-Hsc70/Hsp90シャペロンマシナリー複合体の形成過程の解析を目指した。 平成23年度は、既に得られていた候補因子(Hsc70-4,Hsp83,Hop,Droj2)のリコンビナントタンパク質を作成した。また、Hsc70-4のATP結合ドメイン変異体を作成し、RISC積み込みを定量的に評価できる実験系において、RISC積み込み活性が阻害されることを確認した。 現在は、miRNA経路と並ぶ主要なsmall RNAであるpiRNAの生合成メカニズムを解明すべく研究を行っている。piRNAはArgonauteファミリータンパク質であるPIWIと複合体を形成し、生殖系列細胞においてトランスポゾンの発現を抑制することで、次世代への正確な遺伝子情報の伝達を助けていると考えられている。しかし、piRNAの生合成経路は未知の部分が多く、早急な解明が求められる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画の通り、リコンビナントタンパク質の作成と、ATP結合ドメインの変異体を用いたRISC積み込み活性の評価を実施し、結果を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はpiRNAの生合成メカニズムを解明することを目指す。piRNAは多くがトランスポゾンと相補的な配列を持つ一方、タンパク質コード遺伝子と相補的な配列を持つものは少ない。このことから、piRNA経路は両者を識別していると考えられるが、そのメカニズムは未だ明らかになっていない。最近我々は、GFPを含むトランスジーンと、カイコ卵巣由来の培養細胞であるBmN4を利用し、GFPの発現がde novoに産生されたGFP由来piRNAによって抑制される細胞株を確立した。そこで、この細胞株を用い、piRNA経路がタンパク質コード遺伝子とトランスポゾンとを識別するメカニズムを詳細に解析することを目的として研究を行う。
|
Research Products
(3 results)