Research Abstract |
研究の最終年度である本年度は, 昨年度までに得られた結果を論文発表の形でまとめるとともに, 平成25年10月より, 新たな受入機関である独立行政法人物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点ナノパワー分野ナノ界面ユニットナノ界面グループにおいて, 新たな研究を行った. 本研究は, これまでの研究で報告者が行ってきた, 機能性分子による固体表面の修飾を利用することで, これまでにない機能をもつ電極触媒の開発を目指して行った. すなわち, 有機合成に用いる複数の反応を一つの触媒系で制御することで, 一度に複雑な化合物を構築する手法の開発を目指すものである. 具体的には, 複数種の触媒が存在する条件のもと, それぞれの触媒の反応性を外部から制御することができれば, 望み通りの反応が順番に起こり, 目的物の合成が可能となると予想した. その最初の段階として, 個々の触媒の開発から研究を開始した. 本年度は, 電解発生塩基とよばれる, 電解によって塩基の機能を発現する分子を電極表面に固定化することを計画した. 電解発生であれば, 外部電位により塩基の生成量が制御可能であり, 目的である反応性の制御が可能な触媒となりうると予想した. 電解発生塩基となる部位としては, 立体障害の大きなフェノール誘導体を選択し, 固定化の手法は, 動作電位範囲での分子層の安定性を考慮し, シリコン電極表面へSi-C結合の形成を利用して固定化することとした. 分子層の形成を簡便にするため, まずアルキン部位を導入した分子層を形成し, この分子層に対してアジドを導入したフェノール部位とクリック反応を用いて連結する手法を計画した. このアジドは4段階の合成経路で実際に合成することに成功した.
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