2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規キラル素子を用いる含窒素多環構造構築法の開発とダフニサイクリジンAの合成研究
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11J04661
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川住 宗生 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子内酸化的エーテル化 / daphnicyclidin A / ビニロガスマンニッヒ反応 / 多環式含シクロヘプタン環構造 / 酸化的開裂反応 / 新規ブテノライド調整法 / dubiusamine A / ビシクロ[3.2.1]型構造 |
Research Abstract |
2年間の研究の初年度となった本年度は、daphnicyclidin AのBCD環構造の構築に関してビニロガスマンニッヒ反応の実現の可能性における詳細な知見を得る目的で以下の項目を実施した。 (1)文献既知のシクロヘキセノンを出発物質として、環拡大反応を始めとする種々の変換を経てエノン構造を有する反応前駆体を調製した。本化合物を用いてビニロガスマンニッヒ反応を検討したが、橋かけ構造を有する化合物が選択的に得られるのみであった。そこで、γ位の反応性の向上を企図し、ビニルエノールエーテル構造を有する基質を設計・合成し、検討を試みた結果、本基質を用いた場合にはビニロガスマンニッヒ反応が円滑に進行することを見出した。さらに、得られてきた成績体は単一の異性体であり、その相対立体配置はdaphnicyclidin AのBCD環構造と同一であることを確認した。 また上述の検討に加え、研究開始時点において著者が見出していた分子内酸化的エーテル化反応の基質適用性の拡大を精査することを目的に以下の項目を実施した。 (2)先に見出していた反応条件を8員環基質に適用した場合に興味深い酸化的開裂反応が進行することを見出した。さらに本反応の最適化を行った結果、添加剤としてNaH_2PO_42H_2Oを用いることで大幅に収率が向上することを明らかとした。得られてくる成績体であるブテノライドを出発物質として、近年単離された新規アルカロイドであるdubiusamine Aの不斉全合成を行い、本反応の有用性を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビニロガスマンニッヒ反応を円滑に進行させる条件・基質を見出し、daphnicyclidin Aの全合成を行う上で重要な知見を得ることが出来た。また、分子内酸化的エーテル化反応の基質適用性拡大を精査した際に興味深い酸化的開裂反応を見出し、本反応を応用することで天然物であるdubiusamine Aの不斉全合成を達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
Daphnicyclidin AのBCD環構造を構築することが出来たので、今後はエノン構造を足場とした構造変換を行い、Pauson-Khand反応を鍵反応としてEF環部構築に向けた検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)