2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質の胎児発育への影響 : 疫学と動物実験のコラボレーションによる新たな展開
Project/Area Number |
11J04721
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩井 美幸 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 環境汚染物質 / メチル水銀 / PCBs / 出生児体重 / IGF / 残留性有機汚染物質 / コホート調査 |
Research Abstract |
本研究は、メチル水銀やPCBsといった環境汚染物質ばく露が出生体重低下にどの程度寄与するか検討することを目的とした研究である。当該年度は、2001年1月から開始された「ダイオキシン類等による胎児期曝露が幼児の発達に及ぼす影響の前向きコホート研究(以下、東北コホート調査)」のデータを使用し、解析に使用する項目(母体血・臍帯血中メチル水銀とPCBs曝露データ、胎児発育パラメーター、対象者の基本特性、妊娠期の食生活等)に関するデータベースを構築した。出生体重と関連が深いIGFに焦点をあて、東北コホート調査で収集された母体血、臍帯血および胎盤のIGF分析をするため、倫理申請を行い、承認を受けた。IGF測定に関して、どのELISAキットを選定するか決定する必要があった。論文でもっとも多く報告されていたDiagnostic Systems Laboratories社のキットを購入する予定であったが、別会社に吸収合併され製造中止となり購入することができなくなった。比較的安価であったBoster Immunoleader社のキットとの比較を予定していたが、購入不可のため操作の流れや測定条件を、このキットでまず検討することとした。サンプルは健康な女性5名(年齢25-35歳)の血漿および東北コホート調査で保管されている母体血血漿(在胎27-29週)とそのペアとなる臍帯血血漿7件ずつを用いた。1回目の測定では、文献上で予想される濃度から希釈倍率を設定し、標準液およびサンプルはtriplicateで分析を実施した。標準液の検量線は、R2値0.999と高い相関であり、これより各媒体のIGF-1の濃度を算出した。検出下限値未満となるサンプルがあったことから、再度希釈倍率を細かく設定し実験を行った。その結果、希釈倍率を変えると、最終濃度の値も異なった値を示すことがわかり、その値の妥当性について疑問が残り、異なるキットを購入し比較検討する必要性が考えられた。また、これまで得られていた成果について、Archives of Toxicologyという英文雑誌に投稿したもののrejectされ、次年度に持ち越しとなった。当該年度の目標は、倫理申請および承認うけること、東北コホート調査のデータベースの構築であった。さらにIGF測定の手技習得も目標にあり、概ね目標は達成できたものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は、倫理申請および承認うけること、東北コホート調査のデータベースの構築であった。さらにIGF測定の手技習得も目標にあり、概ね目標は達成できたものと考えている。しかしながら、妊娠に伴い、11月より産休および育児休暇に入ったため計画以上の進展には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策について、IGF測定のELISAキットの選定が重要である。研究としては、予算の問題やより多くの分析を進める上でも安価なキットがあれば望ましい。しかしながら分析のn数が減る可能性はあるが、分析精度を確保するためにも文献情報も多く、精度管理のいきとどいたキットを次年度以降選定し、研究を進めたい。
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Research Products
(1 results)