2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04778
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
天野 晶子 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ビタミンC / 加齢 / カテコールアミン |
Research Abstract |
Senescence marker protein(SMP30)は加齢に伴い肝臓で減少する。SMP30は、多くの哺乳類の体内でビタミンC合成に必須の酵素グルコノラクトナーゼである。ヒトと同様に、SMP30遺伝子を破壊(ノックアウト)したマウス(SMP30-KOマウス)はビタミンCを生合成しない。SMP30-KOマウスはビタミンCの長期的な不足で寿命が短縮する。ヒトでは、血中ビタミンCが加齢で減少する。従って、老化とビタミンCの不足には、密接な関係が窺える。 ビタミンCは、カテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン)の生合成酵素、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)及びドーパミン-β-ヒドロキシラーゼ(DBH)の活性化に補因子として必要とされる。ビタミンCの加齢に伴う減少により、カテコールアミンも減少する可能性が考えられる。カテコールアミンは脳や副腎で合成され、神経伝達物質やホルモンとして重要な役割を担うとされる。しかしながら、ビタミンCの生体内におけるカテコールアミン合成系への役割は不明な点が多い。そこで本年度は、ビタミンC欠乏状態のSMP30-KOマウスにおけるカテコールアミン濃度およびカテコールアミン生合成酵素の遺伝子発現の変化を調べた。結果、ビタミンCの欠乏した副腎においてアドレナリン、ノルアドレナリン濃度が減少した。従って、ビタミンCは生体内で確かにDBHの活性化に必要であることを明らかにした。本成果はEuropean Journal of Nutritionに投稿、受理された。 更に、カテコールアミンが加齢依存的に生体内で減少するかを明らかにするため、野生型マウス副腎におけるカテコールアミン濃度、および合成酵素の遺伝子発現の加齢に伴う変動を調べた。本研究により、マウス副腎でカテコールアミン濃度およびアドレナリン合成酵素のフェニルエタノールアミンNメチルトランスフェラーゼの発現が加齢で減少することがわかった。本成果は、Geriatrics & Gerontology Internationa1に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、細胞内におけるビタミンC輸送体の加齢依存的変動の解析から発展して、生合成酵素の活性化にビタミンCが必要とされるカテコールアミンの加齢依存的変動についても明らかにすることができた。カテコールアミンは生体内で神経伝達物質やホルモンとして機能する。更に、体内ビタミンCの欠乏がマウス副腎のカテコールアミン濃度や合成酵素遺伝子の発現に与える影響についても、初めて明らかにすることができた。計画は概ね順調に進展していると考える。
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Research Products
(4 results)