2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフトにおける細胞膜脂質との相互作用に基づいたP2Y2受容体の機能解析
Project/Area Number |
11J04798
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 康史 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | P2Y2受容体 / 脂質ラフト / 細胞移動 / Gq/11 |
Research Abstract |
これまでに申請者らは三量体Gタンパク質であるGq/11を介した情報伝達が7回膜貫通型受容体であるP2Y2受容体を介した細胞移動に必須であること、また細胞膜ドメインである脂質ラフトがその情報伝達および細胞移動に必須であることを明らかにした。本年度はP2Y2受容体の脂質ラフトへの局在メカニズムの解明を行うことにより、細胞膜脂質との相互作用に着目したP2Y2受容体の機能制御機構の解明を目指した。 これまでにいくつかの分子について脂質ラフトへの局在化に対しパルミトイル修飾の関与が報告されている。そこでP2Y2受容体においてもパルミトイル化修飾が関与するか明らかにするために、ビオチン修飾によってP2Y2受容体のパルミトイル化を検出する実験系を立ち上げ検討した。その結果、P2Y2受容体はパルミトイル化修飾を受けていることを明らかにした。今後パルミトイル化阻害剤、または候補となる修飾部位のアミノ酸を変異させた変異体を用い検討することで、パルミトイル化修飾の意義が明らかとなると予想される。また、いくつかの分子について脂質ラフトへの局在化にガングリオシドのシアル酸残基の関与が報告されている。そこで、P2Y2受容体の機能発現に対するガングリオシドのシアル酸残基の関与を検討した。NG108-15細胞においてガングリオシドのシアル酸を除去するノイラミニダーゼ処理によりガングリオシドGM1のシアル酸残基が除去されたものの、UTP刺激によるGq/11シグナルは顕著に阻害されなかった。この時、NG1O8-15細胞によるUTP誘発性のGq/11シグナルはP2Y2受容体を介した反応であることを確認した。よって、P2Y2受容体の機能発現に対するガングリオシドのシアル酸残基の関与は低いと考えられる。 引き続き細胞膜脂質との相互作用に着目したP2Y2受容体の機能制御機構を解析することで、P2Y2受容体の機能を特異的に制御する新たな方法論の確立に寄与すると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画に照らし、本年度計画分の研究が実施できており、P2Y2受容体の脂質ラフトへの局在メカニズとして予想された候補因子の関与の有無を検討できた。従って、引き続き継続していくことにより当初の目的を達成できると期待されるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って研究を実施していく。まずP2Y2受容体の脂質ラフトへの局在メカニズムの解明をめざす。具体的には1)P2Y2受容体の脂質ラフトへの局在化に関与が予想されるサイトに変異を導入した変異体の脂質ラフトへの局在の有無・情報伝達の変化を観察すること2)P2Y2受容体の機能発現に重要な脂質ラフトを構成する細胞膜脂質を特定することなどから局在化機構の解明を目指す。さらにこの知見からP2Y2受容体の脂質ラフトへの局在を制御することによる、P2Y2受容体の機能を特異的に制御する新たな方法の確立を目指す。
|
Research Products
(3 results)