2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規器官培養系を用いた骨軟骨前駆細胞の分化決定制御機構の解明と骨再生療法への応用
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11J04835
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北條 宏徳 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヘッジホッグ / Gli1 / Gli2 / 骨形成 |
Research Abstract |
前年度のin vitroにおけるGli1・Gli2・Gli3の機能解析によりGli1がヘッジホッグ(恥)シグナルの下流で骨形成に関与する可能性が示唆されたため、Gli1ノックアウトマウス(Gli1KO)を作出し、胎生17日目のマウス胎児の中足骨における骨形成を組織学的に観察した。その結果、軟骨の肥大化・石灰化には大きな変化が認められなかったのに対し、骨殻の形成がほとんど認められず、軟骨膜における骨分化マーカー(a1kaline phosphatase、bone sialoprotein)の発現領域が減少した。また、骨分化におけるマスターレギュレーターであるRunx2、Osterixの発現が軟骨膜で認められず、代わりに異所性に軟骨分化マーカー(type 2 collagen, type 10 collagen)の発現が軟骨膜において認められた。過去の報告で他の組織ではGli1とGli2は翫シグナルの下流で協調的に働くことが知られているため、Gli2KOマウスを作出し、中足骨における骨組織を解析した。その結果、胎生17日目のGli2KOマウスではGli1KOマウスと同様に、骨殻形成が全く認められなかった。さらに、Gli1とGli2のダブルノックアウト(DKo)マウスを作出し、骨組織を解析した結果、Gli1KOもしくはGli2KOで認められた骨形成異常がDKOではさらに顕著であった。Gli1とGli2の協調作用を確認する目的でin vitroにおいてGli1とGli2を発現させると両者を発現させた細胞では一方のみを発現させた細胞と比較して、優位に骨芽細胞の分化マーカーの発現が上昇した。また、Hhシグナル活性化に対するGli1とGli2発現の応答性を検討する目的でGli1KOマウス、Gli2KOマウス胎児由来の軟骨膜細胞の初代培養を行った結果、Gli1KO細胞では恥シグナルを活性化させてもGli2発現に大きな変化が認められなかったのに対し、Gli2KO細胞ではHhシグナルにより誘導されるGli1発現が顕著に減少した。以上よりHhシグナルの下流ではGli2がGli1発現を制御しており、また両者は骨形成に対して協調的に働くことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画された研究内容のうち主な実験は完了し、Gli1、GH2ノックアウトマウスを作出、骨形成を解析し、両者の骨形成における役割を明らかとしたことから、平成24年度実験計画の目的を達成していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き実験計画に沿って研究を進めていく。本研究を基にした臨床応用を検討する目的でラット骨欠損モデルを使用する予定であり、その実験系の確立もすでに検討中である。
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