2011 Fiscal Year Annual Research Report
磁気乱流状態にある原始惑星系円盤での惑星系形成及び周惑星円盤における衛星系形成
Project/Area Number |
11J04841
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荻原 正博 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 惑星系形成 / 衛星系形成 / 数値シミュレーション / 天体力学 |
Research Abstract |
本研究課題では、原始惑星系円盤内での惑星系形成、及び周惑星円盤内での衛星系形成を調べている。 特に円盤内縁付近での天体の力学的挙動を明らかにすることで、内縁付近で生じる様々な物理現象が最終的に形成される惑星/衛星系の性質にどの様な影響を及ぼすかを定量的/定性的に示すことを目的としている。当該年度中は、主に巨大惑星周りに形成される周惑星円盤中での衛星集積を重力N体シミュレーションによって調べることに注力した。 数値シミュレーションの結果、以下が明らかになった。衛星は周惑星円盤中で集積し、質量が増大するに従って円盤ガスとの相互作用により中心惑星方向へと軌道移動する。円盤内縁付近で衛星の中心方向への移動が停止し、その結果、停止した衛星は更に外側から移動してきた衛星との平均運動共鳴に補足され、最終的に円盤内縁から外側に数個の衛星が平均運動共鳴状態で形成する。これは、木星周りに存在するガリレオ衛星の軌道状態と類似している。計算パラメーターを大きく振ったシミュレーションにおいても同様の結果が得られ、円盤内縁が存在する条件においてはガリレオ衛星の軌道状態は一般的に再現し得ることがわかった。 この結果は、円盤内縁付近での天体の力学的挙動が形成される惑星/衛星系の性質を議論する際に重要であることを示している。これまでの惑星/衛星系形成理論の構築を目指す研究においては、内縁などのガス円盤の構造を無視して簡略化する場合が多かったが、その重要性を指摘したことにも本研究の意義が見出される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度中に、円盤内縁近傍での天体集積を追うシミュレーションコードを完成させ、更にこれを用いて衛星系形成シミュレーションを行い新たな知見を得ている。また、これを論文として国際学術誌に投稿しており、計画通りに進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究対象を原始惑星系円盤内での惑星集積に移す。まずは、最近提唱されて注目を集めている「惑星系形成ハイブリッド・シナリオ」の枠組みでの惑星集積を、重力N体シミュレーションを用いて調べる。また、同時に円盤の構造と時間発展を追う流体シミュレーションコードの開発に取り組んでいく。流体シミュレーションコードの完成後、重力N体シミュレーションとの連成シミュレーションにより、円盤内での惑星集積・進化を調べていく予定である。
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