2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁気乱流状態にある原始惑星系円盤での惑星系形成及び周惑星円盤における衛星系形成
Project/Area Number |
11J04841
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荻原 正博 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 惑星系形成 / 数値シミュレーション / 天体力学 |
Research Abstract |
本研究課題では、原始惑星系円盤中での惑星系形成、及び周惑星円盤中での衛星系形成を調べている。 当該年度中は主に、軌道移動を経験する2天体が平均運動共鳴に捕捉される条件を数値シミュレーションにより求めることに注力した。原始惑星系円盤中に形成した原始惑星は、軌道移動(タイプI惑星移動)することが知られており、その過程で平均運動共鳴に捕捉される可能性が考えられる。平均運動共鳴に捕捉された場合、その軌道が強く安定化されることが多く、この場合円盤ガス散逸後に長期間にわたってこの軌道関係が維持される。実際に平均運動共鳴状態にある系外惑星系はこれまでに多数発見されている。本研究では、平均運動共鳴に捕捉される条件を数値計算によって求めることを目的とした。およそ20000ラン以上の多数の数値計算の結果、平均運動共鳴への捕捉条件を経験式として求めることに成功した。更に、この結果を用いて、平均運動共鳴状態にある系外惑星系の形成起源に制限を課した。 また別の課題として、巨大惑星存在下での惑星集積を重力N体シミコレーションによって調べた。惑星形成の標準モデルにおいて、惑星はサブミクロンサイズのダストから数百万年以上かけて形成すると考えられているが、一方で惑星形成の初期段階に巨大惑星が急速に形成する可能性も指摘されている。本研究では、このモデルに則り、巨大惑星が存在する状況下での地球型惑星の集積を重力N体シミュレーションによって調べた。数値計算の結果、巨大惑星の外側に数個の惑星が平均運動共鳴状態で形成する可能性が高いことがわかった。また計算結果は、ホット・ジュピターを含む系外惑星系にはその他に惑星が存在する確率が低いという観測結果と矛盾しないことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度中に、平均運動共鳴への捕捉条件を数値計算により求め、これを論文としてまとめた。また、巨大惑星存在下での惑星集積の研究においても大規模N体計算を実行し、その結果を国際会議で発表している。よって、計画通りに進展していると言える
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、巨大惑星存在下での惑星集積N体シミュレーションの結果を議論し、論文としてまとめる。次の課題として、原始惑星系円盤の構造とその進化をより正確にN体シミュレーションに組み込み、地球型惑星形成過程に与える影響を調べる。具体的には、例えば円盤の温度構造により惑星移動の方向や速度が変化することが指摘されているが、N体計算を用いた惑星の軌道進化と同時に円盤の温度構造進化を計算することで、惑星の軌道進化及び最終的に形成される惑星系の性質について議論する予定である。
|
Research Products
(6 results)