2011 Fiscal Year Annual Research Report
TGFβによるTh17分化制御機構の解明と膠原病治療への応用
Project/Area Number |
11J04861
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
武藤 剛 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | サイトカイン / TGFβ / 組織障害 / ヘルパーT細胞 / シグナル伝達 / ノックアウトマウス / 抑制性T細胞 / アレルギー |
Research Abstract |
免疫系の正と負のバランス決定にはヘルパーT(Th)細胞が重要な役割を果たしており、未感作T細胞からそれらへの分化は、抗原提示細胞からの抗原刺激とサイトカインにより厳密に制御されている。近年、炎症性細胞であるTh17と制御性細胞であるTregが同一のT細胞亜集団から分化することが証明され、膠原病を初めとする自己免疫疾患ではTh17とTregのバランスにより炎症反応が制御されると認識されつつある。しかしTh17とTregの発生および分化制御の分子機構については不明な点が多い。TGFβは免疫制御の中心的な役割を果たしており、特に末梢でのTh1,Th2の抑制とFoxp3(iTreg)の誘導の作用を有する。本研究の目的は、(i)TGFβによるTh17とiTregの分化誘導の分子機構の相違をシグナルレベルで解明し、(ii)同時にTh17の分化を制御する新規因子を探索することである。我々はT細胞特異的にSmad2およびSmad3を欠損したダブルノックアウトマウスの作製を行った。その結果、Sm,ad2/3非依存的にTh17を誘導すメカニズムのひとつとしてEomesodermin(Eomes)と呼ばれる転写因子を同定した。阻害剤の検索の結果JNK-cJun経路がEomesの発現抑制に必須であった。Eomesを発現するレトロウイルスベクターを構築し、primary T細胞への過剰発現の検討を行った結果、EomesはTh17分化(IL-17A、RORgammatの発現)を顕著に抑制することが明らかとなった。さらにTreg特異的にSOCS1やTRAF6を欠損するマウスを作成し、それぞれTh1型、Th2型の炎症を自然発症することがわかった。今後、これらの表現型の原因を明らかにしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Smad非依存性のTh17誘導経路の一端を解明できたことはひとつの大きな前進である。さらにSOCS1やTRAF6のコンデショナルノックアウトマウスの解析からこれらの分子がTreg内でTh1やTh2の抑制に必須の役割を果たしていることを明らかにしており今後の進展が十分期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
TRAF6のコンデショナルノックアウトマウスの解析からこの分子がTreg内でTh2の抑制に必須の役割を果たしていることを明らかにしている。このマウスは膠原病様の症状を呈する。今後Tregをマウスより単離し、Rag欠損マウス等に移入してTregの動態を解析する。さらに試験管内でのTregのTh2への転換の可能性等について検討を行う。もともとはTGFβとTh17、膠原病の関係を明らかにする研究課題であるがTRAF6とTGFβやTh17の関係についても今後検討する。
|
Research Products
(3 results)