2012 Fiscal Year Annual Research Report
キラルホスフィン求核触媒を用いたポリプレノイドの不斉ハロ環化反応の開発
Project/Area Number |
11J05091
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
仲辻 秀文 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヨードラクトン化 / エナンチオ選択的 / 求核性触媒 / 亜リン酸トリエステル |
Research Abstract |
現在の有機合成において重要な課題である不斉ハロ環化反応に取り組んでいる。既に、当研究室では、キラル求核性ボスホロアミダイトを促進剤とする鎖状ポリプレノイドのエナンチオ選択的ヨード環化反応の開発に成功しているが、本反応は、等モル量以上のホスホロアミダイト促進剤が必要であり、反応の触媒化が出来ず、またこの触媒は長期保存が困難で、再現性にも問題があった。そこで、触媒的不斉ヨウ素化の実現を目指し、安定で長期保存可能なキラル亜リン酸トリエステルを基本骨格とする新規求核触媒の精密設計を行い、不斉ヨードラクトン化へ展開した。その中で、ハロゲン化剤としてI_2を用い、活性化剤として1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(DIH)を用いることで、エナンチオ選択性は低下することなく反応性が向上するという興味深い知見を見出した。しかし、エナンチオ選択性が中程度しか発現していなかった。 そこで、今年度は、更なるエナンチオ選択性の向上を目指し、触媒の精密設計を行った。その結果、触媒のフェノール部分の2,6位に1級アルキル基を導入するとエナンチオ選択性が向上することが分かった。特に、イソブチルを導入した触媒を用いた場合、高いエナンチオ選択性が発現した。さらに、-40℃で活性化剤とI_2を混合して活性種を発生させた後、-78℃で反応を行うことで高いエナンチオ選択性が発現することも分かった。また、活性化剤にはDIHより安価で安定なN-クロロフタルイミド(NCP)を用いても、同等の反応性と選択性が発現することが分かった。さらにI_2の当量を0.5当量まで削減することに成功した。この実験結果は、NCPがルイス酸としてI_2を活性化しているのみならず、生成するヨウ化物イオンの酸化剤としても働いていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り、これまで中程度であったエナンチオ選択性を向上させることに成功した。この検討の過程で、活性化剤にはDIHより安価で安定なNクロロフタルイミド(NCP)代替でき、I_2の当量を0.5当量まで削減することに成功できるなど期待以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で、キラルボスファイト触媒を用いたエナンチオ選択的ヨードラクトン化反応の開発を行い、触媒量のキラル亜リン酸トリアリールエステルの存在下、I_2によるヨードラクトン化反応が93%のエナンチオ選択性で触媒的に促進されることが分かった。しかし、基質一般性が不十分であるため、今後更なる触媒の最適化を行い、その改善を図る
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Research Products
(4 results)