2011 Fiscal Year Annual Research Report
光合成電子伝達の還元力が窒素同化とヒドロゲナーゼに分配される構造基盤の解明
Project/Area Number |
11J05122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村木 則文 大阪大学, 蛋白質研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | ヒドロゲナーゼ / 窒素同化 / 光合成 / 光合成電子伝達 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
緑藻は光合成で得られた電子エネルギーを使って水素を生産する.水素生産を担うヒドロゲナーゼ(HydA1)は電子伝達タンパク質フェレドキシン(Fd)の還元力に依存している。FdはHydA1以外にも,炭酸固定系や窒素同化系の酵素などに電子を分配している.本研究では,FdとFd依存酵素の相互作用面に着目し,複合体結晶構造を初めとする構造生物学的手法によって,Fdからヒドロゲナーゼや窒素同化系酵素への電子分配の構造情報を明らかにすることを目指す. <ヒドロゲナーゼ> ヒドロゲナーゼ(HydA1)の大量発現は共同研究先であるドイツ・ボーフム大学のHappe教授らのグループによって,嫌気性グラム陽性菌Clostridium acetobutylcumの組換え体で成功している.Happe教授らのグループから譲り受けた菌株の培養系とHydA1の精製系の立ち上げを行った.まず,ファーメンタを用いたC.acetobutylcumの嫌気培養系を立ち上げた.Happe研究室で作られた組換え菌株を用いて,C.acetobutylcumを大量培養し,その菌体から高純度のHydA1を精製した.メチルビオロゲンを電子供与体としてHydA1の活性を測定し,精製したHydA1が活性を有することを確認した.これまでに構造解析されている緑藻由来のHydA1は活性を有しない状態の構造である(Mulder et al.,Nature,2010).活性のあるHdA1を精製できたことは,世界に先駆けて活性型HdA1やFdとの複合体の構造解析を進める上で有意義である.現在,活性型HydA1単体の結晶化条件のスクリーニングを進めている. <グルタミン酸合成酵素(GOGAT)> 共同研究者らと共にFdとGOGATの複合体結晶を作製した.回折実験により,構造解析可能な良質な回折データを得ることができた今度の発表論文Shinmura et al.Acta Crstallogr Sect F,2012.基質のグルタミンのアナログであるアザセリンを誘導した結晶も作製している.現在,構造解析に向けて,データ収集と構造計算を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究先と同様の手法で,活性を有するヒドロゲナーゼを大量精製することに成功した.しかしながら,結晶化条件の検討にはより大量かつ高純度の酵素試料が必要となる.試料調製において,検討の余地は多い.GOGATについては,再現性良く結晶が得られており,構造解析も近く可能である.NiRはヒドロゲナーゼと同様,結晶化条件の検討を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質の結晶化において,高純度・高濃度のタンパク質試料調製が大きな課題である. GOGATとNiRについては,すでに大量調製のための実験系が確立されており,結晶化に適した試料が得られている. 現在,ヒドロゲナーゼにおいて,試料調製が大きな課題である.結晶化の検討に並行して,一回の培養・精製で得られるサンプル量を増やすために,培養装置の大型化と精製方法の更なる改良を進めていく.
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Research Products
(3 results)