2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J05191
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 詩乃 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 読み書き困難 / 物語理解 / 学習障害 / 広汎性発達障害 / 注意欠陥/多動性障害 |
Research Abstract |
かなの読み書き困難特性の解明をするために、学習障害の疑いがあり、読み書きに困難がある12名の児童を対象に、読み書きに関係すると考えられる音韻意識、視知覚、音韻処理、運筆力の4つの要素を検討した。この結果、読み書き障害に起因すると考えられる読み書き困難は単独の障害によってもたらされるではなく、様々な要因が影響することが明らかになった。かなに読み書き困難がある児童向けの教材は日本ではまだ少ないため、教材開発に関わり、その教材を学校現場に導入し、その効果を検討した。 また、物語理解の困難さをもたらす諸要因を検討するために、一次的誤信念課題を通過している2~5年生の広汎性発達障害児13名を対象に検討し、文章理解の能力や課題の呈示形式が物語理解に影響している可能性が示唆された。 さらに、日本では、読み書き困難を抱えるとして学校現場で問題になる児童は、学習障害だけではなく広汎性発達障害や注意欠陥・多動性障害など他の障害と重複している児童や、学習障害の診断をうけていない広汎性発達障害や注意欠陥・多動性障害の児童であるという現状がある。このため、30名程度の発達障害の児童を対象に、読み書き支援の実践を行った。この中には、読み書き障害の児童以外に、広汎性発達障害によるこだわりや、注意欠陥/多動性障害の多動・不注意などにより、二次的に読み書き困難が生じている児童が含まれていた。今後は、これらの実践で得られた知見を踏まえて、広汎性発達障害や注意欠陥・多動性障害を含む発達障害児の読み書きの困難さをもたらす諸要因を検討し、支援方法を確立したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・継続して、学習支援活動に関わっている ・学校現場に教材を導入し、その効果を確認できている
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Strategy for Future Research Activity |
・引き続き、学習支援活動に関わる ・これまでの成果をまとめ、学会発表や専門誌への投稿を行い、またアウトリーチ活動を積極的に行う
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