2011 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜免疫誘導組織内共生細菌と宿主粘膜免疫系との相互作用機構の解明
Project/Area Number |
11J05262
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 納央子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Alcaligenes / 粘膜免疫誘導組織内共生細菌 / クローン病 / ワクチン |
Research Abstract |
本年度はAlcaligenesのバイエル板内共生関係の成立、維持機構及び樹状細胞を中心としたAlcaligenesによる免疫誘導制御機構、さらにクローン病におけるAlcaligenes共生の果たす役割に関し解析を進めた。まず始めにバイエル板内へのAlcaligenesの取り込み経路に関して腸管結紮法及び免疫組織染色法により検討した結果、AlcaligenesがM細胞を介して樹状細胞に取り込まれることが明らかとなった。そこでM細胞上に発現し、細菌のバイエル板内への移入に関与するGP2分子を欠損したマウスのバイエル板内Alcaligenesを解析した結果、野生型マウスと同様にバイエル板内にAlcaligenesが存在することが判明した。以上の結果から、AlcaligenesをM細胞上に発現するGP2以外の分子を介してバイエル板内に取り込まれることが明らかとなった。先行研究から成熟B細胞を結しつしているxidマウスにおいてバイエル板内のAlcaligenesが減少することが明らかとなっていることから、今後はM細胞上に発現するIgA受容体に注目し、バイエル板内へのAlcaligenes取り込み経路を詳細に解析する。また、樹状細胞を中心とした免疫制御機構に関しては、バイエル板に限局したかたちで樹状細胞がT細胞領域の形成機構に関与することを示し、同じくバイエル板に限局して存在するAlcaligenesの関与を示唆した。同研究内容の一部は論文投稿し、現在リバイス実験中である。クローン病における解析においては、腸炎モデルマウスであるDSS頻回投与マウスを作製し解析を行った。その結果、同腸炎モデルにおいてもヒト検体と同様にバイエル板内のAlcaligenesが激減することが判明した。ヒト糞便中のAlcaligenes特異的IgA抗体がクローン病患者において減少することを発見したが、DSS頻回投与マウスにおいても同様に糞便中IgA抗体価が減少することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共生関係の成立・維持機構においては基礎的知見を積み上げると共に、Alcaligenesの局在性に関する論文を共著者として進めることができた。またパイエル板T細胞領域の形成機構に関してはその内容の一部をすでに論文として投稿しており、リバイス実験を行っている。その他の項目に関しても着実に興味深い結果を得ていることから、交付申請書に記載した研究目的のうち、すべての項目において進展させることができたと考えられる為。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度中にAlcaligenesの基礎的解析を進めることができたため、今後はクローン病やワクチン運輸体への利用を考えた、応用的な観点から解析を進める。特にクローン病に関しては腸炎モデルでヒト検体で得られた結果と同等な解析を結果を得ているため、今後はヒト検体とマウスもでるとの比較や宿主免疫応答の解析を行う。またワクチン運輸体への応用という観点では、培養したAlcaligenesを経口投与することでバイエル板へ取り込ませることに成功している。今後は同実験系を応用し、種々の遺伝子組み換え株をバイエル板に定着させる実験系の構築を目指す。
|
Research Products
(2 results)