2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞代謝システムのネットワークモデル化およびシミュレーションによる生体内代謝解析
Project/Area Number |
11J05437
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
行平 大地 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メタボローム / MALDI-MS / 代謝動態 |
Research Abstract |
今年度は、癌組織内の低グルコース・低酸素状態を模した培地環境におけるマウス上皮がん細胞SCC7内代謝物の変動を追跡した。代謝物分析は三連四重極型高速液体クロマトグラフィー質量分析装置(LCMS8030、島津)を用いることで、約150種の代謝物量を同時にした。また並行して、培地内代謝物量の変動、およびHIF-1α発現量の変動を追跡した。低酸素状態で培地中に乳酸が多量に蓄積しており、また栄養状態によっても蓄積量が異なったため、他の代謝物量との関連について相関解析とパスウェイ解析を組み合わせて実施した。乳酸は炭素源の一時的なプールとして機能していると予想されるため、乳酸の再取り込みについて追跡する必要があると考えられた。また、このような再取り込みが実際の組織中でどのように進展するかに興味が持たれた。これに関連し、前年度より研究展開している、MALDIマトリックスと測定対象代謝物の構造との間に存在するイオン化に適した相性の統計モデル化を引き続き実施した。そもそもMALDI-MSによる代謝物イメージング分析は高等生物の器官・組織内における代謝動態の時空間解析を実現する上で欠かせないツールである。しかし現在、MALDI-MS分析に於いて測定可能な代謝物がマトリックス分子種に制限され、かつその物質種の範囲が他のイオン化法に比べても明らかに狭いという根本的な制約がある。これまでに構築したモデルでは、イオン化可否予測、検出感度予測において高い性能を達成しており、またより高効率、特異的な代謝物のイオン化を実現するためのマトリックス分子のデザインについてこれまでにない知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MALDI-MSによる代謝物分析は未だ発展途上の技術であるが、マトリックスによる代謝物イオン化ついて構造活性相関解析を通じて新たな戦略を提案できた。しかしながら、in vitroの実験結果をin vivoの知見へと効率的に読み替えるための戦略については深く踏み込んだ議論まで到達できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(7 results)