2011 Fiscal Year Annual Research Report
光受容体相互作用因子の解析から見えてくる植物の光・温度に対する応答メカニズム
Project/Area Number |
11J05444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安居 佑季子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / フィトクロム / FT / 光質 |
Research Abstract |
花成時期決定は、種の存続を懸けた重要イベントであり、植物は環境を認識することで最適なタイミングを測っている。これまでに、赤色光・遠赤色光受容体フィトクロムB(phyB)が、フロリゲンとして知られる花成促進因子FTの発現を抑制することが知られている。研究員は、酵母ツーハイブリット法によるスクリーニングにより単離したシロイヌナズナの新規phyB相互作用因子VOZ(シロイヌナズナにおいてVOZ1,VOZ2の2遺伝子)の機能解析をおこない、これまでに、VOZがphyBの下流でFTの発現を促進すること、VOZは主に細胞質に局在しているが核内で機能すること、長期の低温を感知する経路で機能するFT抑制因子FLCの発現を抑制することを示していた。今年度は、VOZのシグナル伝達の分子機構を解明することを目的に、光質を取り入れた解析を進めた。まず、光質別のVOZタンパク質の安定性を比較した結果、VOZタンパク質の蓄積量はphyBが主に不活性型となる遠赤色光条件下で低下することがわかった。さらにプロテアソーム阻害剤を用いた解析から、VOZが26Sプロテアソームを介して分解されていることを示した。また、光質依存的なVOZタンパク質の分解がフィトクロム依存的であることを、フィトクロム変異体を用いた解析により示し、さらに核に局在するVOZタンパク質がリン酸化修飾を受けていることを明らかにした。また、phyBとVOZのin vivoにおける相互作用を明らかにするため、N.benthamianaにおける一過的発現系を用いたBiFC法を行い、細胞質におけるphyBとVOZのタンパク質間相互作用シグナルを検出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光質を用いた解析により、VOZの細胞内における挙動が明らかになりつつあり、今後の研究に結びつく結果を本年度に得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
シグンル伝達におけるフィトクロムとVOZの関係を明らかにするため、VOZの分子機構をさらに詳細に明らかにしていく。またVOZの花成経路における役割を明確にするため、VOZの下流有力候補であるFLCに対するVOZの機能を解析する。
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