2011 Fiscal Year Annual Research Report
Claudin類似4回膜貫通タンパク質EuglenaIP39の構造および機能解析
Project/Area Number |
11J05494
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 泰行 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Euglena / IP39 / 構造解析 / Tight junction |
Research Abstract |
昨年度当初、精製したIP39を用いて明確な回折点を示す2次元結晶を得ることが出来た。より高分解能な解析を行える極低温電子顕微鏡を用いた観察へと進むためには、長期の観察、解析に耐え得る、それまで以上の良質な結晶を再現性良く作製できることが求められる。そこで精製条件、結晶化条件のより詳細な検討を行うことで、再現性の良いかつ良質な結晶を作製することが出来るようになった。作製した結晶を用いて極低温電子顕微鏡で高分解能解析を行ったところ、IP39は基本の最小ユニットが三量体で存在し、さらに再構成脂質膜中において細胞内側、または外側を同じ向きにして埋め込まれながら1次元方向に配列する、いわゆるタイトジャンクションに見られるstrandの様な配列を形成していることが分かった。これまでに再構成膜中でこの様な形態を示す膜タンパク質の報告はなく、全く新規の重合様式を示すタンパク質である。また、あるclaudin分子が取り易い最小ユニットも三量体であることも本研究にて確認しており、さらにタイトジャンクション中の1本のstrandの幅と、IP39のstrandの幅も大体等しいことから、IP39の立体構造解析がclaudinの構造学的知見を世界で始めて与える研究に成りえる可能性が高い。また、現在陰イオン交換カラムから精製する際に、異なるリン酸化状態を持つIP39が回収できており、IP39のリン酸化状態と結晶性の間に密接な関係が存在することが分かってきた。Claudinにおいても、様々なsubtypeでリン酸化とバリア機能制御の相関が報告されているため、IP39のリン酸化状態と構造、および機能の関係は非常に興味深い点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、良質な結晶を再現性良く作製できるようになった。また極低温電子顕微鏡による観察、解析を経てIP39の多量体状態が判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はIP39のリン酸化が分子間相互作用にどのような影響を与えているのかをリン酸化抗体を付加した結晶を作製し、極低温電子顕微鏡を用いて観察し、その機能について議論を重ねていく。抗体はIP39に対して、かなり大きく分子間相互作用に働く領域に結合する可能性があるために、結晶を壊さない程度の濃度、抗体の種類やパパイン処理などをすることで分子サイズを調節する必要があると思われる。また、分子間相互作用の領域を特定していく為に、リン酸化部位を含めたアミノ酸置換をしたIP39を作製、安定発現細胞株にて精製して結晶解析を試みる。
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