2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変ニューロンの光活性化ラベル法を用いた霊長類認知記憶形成の分子機構の解明
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11J05569
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪田 匡史 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光遺伝学 / レンチウイルスベクター / プルキンエ細胞 / 小脳 / 視覚連合記憶 / 電気生理 / 霊長類 / RNAi |
Research Abstract |
本研究の目的は、視覚性連合記憶の学習過程で、サル下部側頭葉の神経細胞群がその反応選択性を獲得する際の分子メカニズムを明らかにすることにある。MのA受容体などの記憶関連分子をノックダウンした神経細胞をin vivoの細胞外電気生理記録で同定するために、光遺伝学的ツール(ChR2、NpHR)を用いる。 本年度においては、まずラットにおける光遺伝学的神経活動制御法の検討を行った。レンチウイルスベクターを用い、小脳プルキンエ細胞特異的プロモーターであるL7の制御下でChR2およびNpHRを発現させることにより、プルキンエ細胞特異的な神経活動制御法を確立した。次に、この手法を用いることで、小脳虫部第9小葉に存在する循環制御部位内のプルキンエ細胞活動と、ウレタン麻酔下のラット動脈圧との因果関係を示した。以上の成果は、PLoS ONE誌(Tsubota et al., 2011)、第34回日本神経科学大会(2011年9月16日、神奈川)、第41回北米神経科学学会(2011年11月13日、ワシントンDC)、GCOEジョイントシンポジウム(2012年1月20日、東京大学)、及びGCOEプログラム「生体シグナルを基盤とする統合生命学」第5回リトリート(2012年3月3日-4目、山梨)において発表された。また、上記循環制御部位の生理学的意義を示すために、ラットの姿勢変化時に第9小葉プルキンエ細胞活動を抑制する実験を行った。これにより、姿勢変化後の血圧の安定性の維持に、第9小葉プルキンエ細胞活動が必要であることを示した。この成果はNeuroscience誌において発表された(Tsubota et al.,in press)。 また、上記の検討実験と並行して、記憶関連分子をノックダウンするためのレンチウイルスベクターの開発を行った。HEK293T細胞にレンチウイルスを感染させ、記憶関連分子が高い効率でノックダウンされることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学的神経活動制御法の検討を終え、その成果を論文・学会において発表したという点において、順調な進展があったと評価できる。また、記憶関連分子をノックダウンするためのレンチウイルスベクターが完成したという点においても、当初の目的を達成したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
記憶関連分子をノックダウンするためのレンチウイルスベクターの、ラットにおける検討実験を行う。これと並行して、サルに対する対連合記憶課題の訓練を行う。
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