2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変ニューロンの光活性化ラベル法を用いた霊長類認知記憶形成の分子機構の解明
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11J05569
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪田 匡史 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光遺伝学 / レンチウイルスベクター / プルキンエ細胞 / 視覚連合記憶 / 小脳 / 電気生理 / 霊長類 / RNAi |
Research Abstract |
本研究の目的は、視覚性連合記憶の学習過程で、サル下部側頭葉の神経細胞群がその反応選択性を獲得する際の分子メカニズムを明らかにすることにある。NMDA受容体などの記憶関連分子をノックダウンした神経細胞をin vivoの細胞外電気生理記録で同定するために、光遺伝学的ツール(ChR2,NpHR)を用いる。以上の目標の達成に向け、本年度は、光遺伝学的ツールを発現するためのレンチウイルスベクターの開発、およびその有効性を生理学的に確認するための作業を行った。具体的には、小脳虫部第9小葉に存在する循環制御部位の生理学的意義を示すために、NpHRを用いて、ラットの姿勢変化時に第9小葉プルキンエ細胞活動を特異的に抑制する実験を行った。これにより、姿勢変化後の血圧の安定性の維持に、第9小葉プルキンエ細胞活動が必要であることを示した。この成果はNeuroscience誌(Tsubota et al., 2012)、第35回日本神経科学大会(2012年9月18日、愛知)、および第42回北米神経科学学会(2012年10月14日、ニューオリンズ)において発表された。 また、上記の検討実験と並行して、記憶関連分子をノックダウンするためのレンチウイルスベクターの開発を行った。このレンチウイルスベクターをラット大脳皮質に摂取したところ、in viVoで高効率のノックダウンが起こる一方で、正常な神経伝達機能は阻害されないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小脳プルキンエ細胞特異的な神経活動制御法を応用して小脳虫部第9小葉の生理学的意義を見出し、その成果を論文・学会において発表したという点において、進展があったと評価できる。また、記憶関連分子をノックダウンするためのレンチウイルスベクターのin vivoにおける効果の検討を終えたという点においても、当初の目的に向けた順調な進展があったと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
記憶関連分子をノックダウンするためのレンチウイルスベクターを用いて、ラット大脳皮質神経細胞活動の可塑的変化を阻害するための検討実験を行う予定である。また、これと並行して、サルに対する対連合記憶課題の訓練を並行して行っていく予定である。
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