2012 Fiscal Year Annual Research Report
心血管ホルモンによるミトコンドリア制御と骨格筋加齢およびメタボリックシンドローム
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11J05579
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三石 正憲 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨格筋加齢 / 骨格筋ミトコンドリア / 身体能力 / グレリン / TORC1 / AMPK |
Research Abstract |
本年度の検討では、加齢に伴い減少するホルモンの補充による、骨格筋ミトコンドリア機能および身体能力の改善を試みた。加齢により減少することが知られているホルモンで、骨格筋量を増加させると報告されているinsulin-like growth factor-1(IGF-1)の上流に位置するグレリンに着目し、検討を行った。培養骨格筋細胞を用いた検討で、摂食調節に関与する消化管ホルモンであるグレリンが、ミトコンドリア量を増やし、電子伝達系酵素活性を亢進させることを見出した。そこでグレリン300μg/kg-BWを50週齢マウスに週3回1か月間腹腔内投与し、トレッドミル走行距離にて持久力を評価したところ、グレリン投与により持久力は有意に改善した。組織学的評価では、グレリン投与により骨格筋ミトコンドリア量は増加し、ミトコンドリア機能も亢進していた。呼気ガス分析では、グレリン投与により酸素消費量が増加していた。以上から、加齢により低下したグレリンの補充により、骨格筋ミトコンドリア量および機能は亢進し、その結果、持久力およびエネルギー代謝は改善したと考えられた。現在、グレリン受容体であるGHSR(growth hormone secretagogue receptor)を欠損したマウス(GHSR-KO)を用いた検討を行っており、これまでにGHSR-KOは筋力や持久力などの身体能力が低下していることを見出している。 これらの知見は、加齢人口の増加により骨格筋加齢の予防・治療が重要な医療的および社会経済的問題となっている現代において、加齢により減少するホルモンであるグレリンの補充が、骨格筋加齢の予防および治療に有効である可能性を示した点で非常に意義深いものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験の大半を行い、一定の結果および知見を得られたことは評価できると考えている。 加齢により減少するホルモンであるグレリンが骨格筋ミトコンドリア機能制御に関与している可能性を示し、グレリンの補充による骨格筋加齢の予防および治療の可能性を見いだせた点は、今後の研究の展開にも非常に有意義であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き骨格筋加齢が身体能力なたびエネルギー代謝に与える影響を検討し、内分泌因子の補充による骨格筋加齢新規治療法の開発を目指す。現在、グレリン受容体であるgrowth hormone secretagogue receptor(GHSR)欠損マウスを用いた検討を行っており、その検討に全力を注ぐ。これまでに得られているグレリンのマウスへの投与実験の結果と合わせ、グレリンの骨格筋加齢における意義および治療法としてのグレリンの有効性を明らかにする。
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Research Products
(4 results)