2011 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起顕微鏡を用いた発達期大脳皮質シナプスリモデリングの直接観察
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11J05614
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一色 真明 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | in vivo imaging / シナプス / シナプス後肥厚部 / スパイン / 大脳皮質 / 生後発達 / 2光子励起顕微鏡 |
Research Abstract |
これまでに2光子励起顕微鏡を用いた成熟した個体の大脳皮質内でのin vivo観察から、成熟個体内では興奮性シナプス後部の形態的指標である樹状突起スパインが非常に安定に存在し神経回路が維持されていることが知られている。しかし、シナプス密度が増加し回路が形成され始める生後発達初期のシナプス動態は知られていない。そこで本研究では、シナプス後部の代表的な分子であるPSD-95およびHomerlcにEGFPを融合させたタンパク質を子宮内エレクトロポレーション法で遺伝子導入し、それを指標として2光子励起顕微鏡を用いて生後発達初期のマウス大脳皮質内錐体細胞のシナプス動態を経時観察した。分単位の経時観察から、スパインの形態形成とそれに伴うシナプス分子の集積過程を観察することに成功した。この時、PSD-95とHomerlcで異なるタイミングで新生したスパインに集積することが示された。更に、日単位の経時観察から生後発達初期では成熟期と比べシナプスの形成と消失が共に活発に生じており、そのバランスとしてシナプスの増加が生じていることが示された。従って、本研究は成熟期でのシナプスの形成・消失が少なく回路として完成され安定している状態と、発達期での回路の改変が活発に生じている状態という2つの時期が個体の発達を通して存在していることを示している。本研究でこれまでに得られた知見は生後発達期において、どの様な機構でシナプスが形成・維持あるいは消去され、結果として如何に神経回路網が構築されるのかを示唆する重要な発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた短期間でのシナプス動態だけではなく、長期的なシナプス動態の観察にも成功した。これにより、生後発達初期の大脳皮質でどの様にシナプス密度の増加が制御されるのかを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに野生型の生後発達期において、興奮性シナプスが活発に形成および消失を繰り返すことで神経回路網が形成されることを示した。今後は、発達期におけるシナプスの形成および消失の生理的制御機構の解明および発達障害を示すモデルマウスを用いてシナプス動態の解析を行う。
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Research Products
(1 results)