2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療における経時的線量最適化治療技術に関する研究
Project/Area Number |
11J05720
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木田 智士 東京大学, 医学部附属病院, 特別研員(DC1)
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Keywords | VMAT / コーンビームCT / 呼吸性移動 / 4D-CT / IMRT / VMAT-CT / adaptive radiation therapy |
Research Abstract |
放射線治療において、理想的な線量分布を実現するために、逆計算を用いて空間的に変調された照射強度分布を求める手法として、IMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy;強度変調放射線治療)が近年開発された。その中でも最も治療精度が高く、治療時間を短縮する方法の一つとして、VMAT(回転型強度変調放射線治療)が注目されている。これは、放射線射出部分(ガントリ)を連続回転させ、角度ごとの照射強度や照射形状を逆計算により最適化する手法である。我々は、VMAT治療中に治療用MV放射線と直交軸に設置された診断用kVエックス線を同時に曝射し、CBCT画像を取得する方式を開発した。この治療中CBCT同時撮影技術を用いて、VMAT治療中の腫瘍位置に対する治療前と治療後の相対的な位置ずれの大きさを世界で初めて検証した。(K.Nakagawa et al.,Radiotherapy and Oncology, Vol.90(2009)p422 and Acta Oncologica, First published on 25 July,(2009)) 本研究では、肺定位放射線治療において、WAT中に撮影された4次元コーンビームCT(4D-CBCT)を用いた、治療中の腫瘍の動きの検証や、実際の投与線量分布の再構成等、より高精度な放射線治療に向けた検証システムの確立を目指す。 4D-CTの各位相で照射されるべきビームをインバースプランニングにより最適化し、位相に同期して照射するという治療法は、すでに準備段階を終えており、ここ数年内での実用化が期待される。こうした治療法は複雑であるがゆえに、治療ごとの検証システムを確立しておくことが、安全で確実な治療を提供する上できわめて大事である。また、治療中の腫瘍の動きや線量分布取得のシステムの確立は、治療ごとに実際に投与された線量分布を積算することによる、adaptive radiation therapy(経時的線量最適化放射線治療)に向けての重要なSTEPである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
WAT中に診断用のkVコーンビームと同時に治療ビームによる投影画像から呼吸波形を取得し、kV 4D-CBCTと同様に、位相ごとの再構成画像を得ることも可能であることを示すことができた(VMAT 4D-CT)。この治療ビームによる再構成画像から、照射野と腫瘍の相対位置関係を直接把握でき、それぞれの呼吸位相において腫瘍が照射野内に入っていたことをより精度よく簡便に確認することが可能となった。原体照射を基盤としたVMATであるため、ガントリー角度間での照射野内の情報量の欠陥が最小限にとどまり、治療ビームでも再構成に成功する。このVMAT 4D-CTは、治療中の腫瘍の動きのモニタリングを治療ビームそのもので行うことができ、kV CBCTによる余計な被曝を低減できる可能性を示唆している。また、治療中に取得されたガントリー角、MLCとJAWの配置、線量率の情報とCBCTにより、実際の線量分布の評価も行った。このような治療中の検証は、動きを伴う場合には特に重要であることが明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
肺がんにおいては、自由呼吸下で、時間軸を含めた4次元インバースプランニングによる呼吸位相に同期した放射線治療を行うことが理想である。各位相で計算された線量分布を基準となるCTにマッピングした後、全位相の線量を積算する手法を用いて、4D-CTの各位相で照射されるべきビームをインバースプランニングにより最適化し、位相に同期して照射する。この治療法は、すでに準備段階を終えており、ここ数年内での実用化が期待される。こうした治療法は複雑であるがゆえに、上記のような検証システムを確立しておくことが、安全で確実な治療を提供する上できわめて大事である。また、肺がんに限らず、治療ごとに実際に投与された線量分布を積算することにより、adapt lveradiation therapy(経時的線量最適化放射線治療)への道が切り開かれて行くと考えられる。今後は、adaptl veradiation therapyに向けて、日々変化する臓器の画像を変形させて重ね合わせるアルゴリズム(image registration)の開発とそれを可能にするCBCTの画質改善に続けて取り組んでいく予定である。
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Research Products
(7 results)