2012 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞のトランスサイトーシスを介した実質細胞標的化薬物送達システムの構築
Project/Area Number |
11J05746
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田丸 みな 北海道大学, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳 / 血管内皮細胞 / 薬物送達システム / 標的化 / リガンド / 核酸医薬 / in vitro / in vivo |
Research Abstract |
本研究では、末梢血管から投与可能な脳実質移行性キャリアを開発することで、脳を標的とした新規薬物送達システムの構築を目指している。本目標を達成する為には、まず薬物送達キャリアを、血中から脳血管内皮細胞へ結合させる必要がある。昨年度まで、脳血管内皮細胞標的化リガンドとして、脳移行性が報告された様々なペプチドを用いてきたが、物性上キャリアへの修飾が困難なもの、キャリアへ修飾すると脳血管内皮細胞に取り込まれなくなるものが多々あり、研究計画通りに進まなかった.本年度は薬物送達キャリア及び脳血管内皮細胞標的化リガンドの変更を行った。また、実験条件の見直しも行い、来年度の実験に必要な技術の習得に努めた。 1.キャリアの変更 当研究室では、様々な組織へ選択的に薬物を送達する為、多機能性エンベロープ型ナノ構造体MENDを用いている。本研究では、当研究室で開発されたpH応答性脂質YSK05を用い、siRNAを封入したキャリアを作成した。また、内因性リポタンパクが細胞に取り込まれる際にリガンドとして機能するアポリポタンパクを本キャリアのリガンドとした。その結果、キャリアの物性を損なうことなく、マウス脳血管内皮細胞由来の培養細胞に取り込まれ機能することが確認された。 2.実験条件の見直し これまでのvitro実験では不死化された培養細胞を用いてきた。より生体に近い状態の細胞で評価する為、マウスから脳血管内皮細胞を単離し、培養する方法の確立を目指した。条件検討により汎血管内皮細胞マーカーを発現する細胞集団を得たが、実験に十分な量を確保することは難しかった。また、in vivo実験では、キャリアを頸動脈から投与することで、血中を滞留しているキャリアと脳血管内皮細胞の相互作用に焦点を絞って考察することを目指した。しかし、マウスの頸動脈が細い為、投与したサンプル間で実験結果の誤差が大きかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本年度中にDualリガンドキャリアが完成し、in vitroでの評価を実施する予定だった。 しかし、脳血管内皮細胞標的化リガンドの探索に時間がかかり、本年度は、singleリガンドキャリアの構築とin vitroにおける機能評価に留まってしまった。しかし、リガンドが決まり、in vivo実験に必要な技術も学ぶことができ、次の研究につながる重要な準備期間となった為、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で構築したキャリアの有用性をin vitro、in vivoで評価する。また、これまで実験対象としてマウスを用いてきたが、初代培養で、十分な細胞量を得られる点、頸動脈が太いため、キャリアを投与しやすい点を考慮し、ラットに変更する。まず、singleリガンドキャリアで脳血管内皮細胞標的性を調べた後、トランスサイトーシス標的化リガンドの修飾方法の検討、dualリガンドキャリアの機能評価をin vitro、in vivoで評価する。
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Research Products
(1 results)