2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J05881
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長尾 勇佑 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 背腹軸 / Zic / トランスポゾン / メダカ変異体 |
Research Abstract |
メダカ自然突然変異体Daでは体幹部において背側構造が腹側化しており、Da遺伝子座が体幹部の背腹軸を決定する重要な役割を演じていることを示している。これまでの研究から、Da遺伝子座はzic1およびzic4の領域にマップされており、非コード領域に挿入配列があること、およびDa胚では体幹部におけるzic1、zic4の発現が減弱していることから、Da変異はzic1、zic4の発現調節に関わっていることが推測されている。Da変異体の新規アレルであるDa2の染色体遺伝子を検索し、大型トランスポゾン(Albatross)がzic1,zic4遺伝子タンパク質コーディング領域の間に挿入されていることを見出した。このトランスポゾン挿入によりzic1,zic4の背側体幹部での発現が減弱することで、背側体幹部の形成不全が起こるものと考えられた。Da変異やDa2変異のような非コード領域内の変異は、一般的にタンパク質コード領域における変異を証明するために用いられるアンチセンスオリゴによるノックダウン法などを用いることができないため、証明することが難しい。そのため、本研究で解析を進めたDa-2は、このトランスポゾンがzic1、zic4の発現異常および体幹部背側における背腹軸の形成異常の原因であるという可能性を支持するものとなつた。この成果は、東京大学との共同研究の形で、Current Biology 22, 1-7, 2012に発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的とは少し違う形となったが、一つの仕事として論文を発表することができたため、現在は新たな研究テーマとしてDa変異体における色素細胞分化機構の解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
メダカは四つの色素細胞(黒色素胞、虹色素胞、白色素胞、黄色素胞)が存在するが、転写因子をコードするsox5が、色素細胞分化で重要な役割を演じていることを見出した。今後はメダカにおける色素細胞あるいは色素芽細胞のマーカーおよびsox5を遺伝子マーカーとして用いてDa変異体における色素細胞の表現型を検証する。ただし、ゼブラフィッシュで用いられている色素マーカーがメダカでも使えるのか分からないため、まずそれらの染色の結果とメダカ色素パターンを比較することで、メダカ色素マーカーの利用性を検証する。
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