2012 Fiscal Year Annual Research Report
キラルビナフトラート典型金属塩触媒を用いる直截的不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
11J05898
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀部 貴大 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 典型金属 / ビナフトール / 酸塩基複合 / マグネシウム / リン求核剤 / P,N-配位子 |
Research Abstract |
本研究目的は、新たなキラル典型金属ビナフトラート塩の創製を行い、既存の触媒で達成困難な反応の開発を行うことである。これまでに研究代表者は、典型金属であるマグネシウムを用いたキラルビナフトラート塩を創製し、α,β-不飽和カルボニル化合物に対するリン求核剤の2つの付加反応を開発した。具体的には、これまで開発できなかったα,β-不飽和エステルに対するリン求核剤の1,4-付加反応とα,β-不飽和ケトンに対するリン求核剤の1,2-付加反応の二つの反応開発である。こうしたリン求核剤の付加反応は、リン求核剤の反応性の低さからその開発が限られていた。今回開発したBronsted/Lewis酸-塩基複合型マグネシウムビナフトラート触媒は、リン求核剤とα,β-不飽和カルボニル化合物を活性化できるため、短い反応時間と広い基質の適用範囲を達成できた。また本錯体はビナフトールとジブチルマグネシウムから反応系中で調製ができ、ビナフトール/マグネシウムのモル比やアキラルな助触媒によって、錯体の会合状態をチューニングできる。こうした特長を有するマグネシウムビナフトラート錯体を系中で調製し検討した結果、ビナフトール:マグネシウム=3:2のモル比から調製した3:2錯体がエナンチオ選択的1,2-付加及び1,4-付加反応の最も高い活性と選択性を発現した。ESI-MSや反応速度論による遷移状態の分析の結果からも、3:2錯体が触媒活性種であることを確認した。得られた1,2-付加生成物は、医薬品のリード化合物として有用な環状リン酸エステルに誘導した。一方、1,4-付加生成物は、エステル部位をオキサゾリンに変換し、キラルP,N-配位子及びそのパラジウム錯体に誘導した。
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